最新記事

ビジネス

スポーツ産業の成長が名目GDP600兆円達成への鍵

2020年4月15日(水)12時05分
藤原 光汰(ニッセイ基礎研究所)

試算では、家計調査から「ゴルフプレー料金」「スポーツクラブ使用料」「他のスポーツ施設使用料」について、総務省統計局の消費者物価指数から公表されている「ゴルフ練習料金」「ゴルフプレー料金」「ボウリングゲーム代」「プール使用料」「フィットネスクラブ使用料」の物価指数およびウエイトで実質化し、世帯数を乗じた金額を「する」スポーツの支出額とした。同様に、「観る」スポーツの支出額は、家計調査から「スポーツ観覧料」について消費者物価指数から公表されている「サッカー観覧料」「プロ野球観覧料」の物価指数およびウエイトで実質化し、世帯数を乗じた金額である。

2019年の消費支出は2000年の1.1倍の増加にとどまっているが、2019年の「する」スポーツの支出額は2000年の1.9倍、「観る」スポーツの支出額は2.7倍の増加となっている。

おわりに

第3次産業活動指数における「する」スポーツは、ゴルフ場、ゴルフ練習場、ボウリング場、フィットネスクラブに限られており、その他のさまざまな「する」スポーツの活動が捉えきれていない。一方、需要側統計の家計調査では「する」スポーツの支出額が広く捕捉されており、「する」スポーツは実態としては伸びている可能性が高い。

日本のスポーツ市場は欧米先進国と比較すると規模が非常に小さいことがかねてより指摘されている。裏を返せば、他国よりもスポーツ産業の伸び代が十分にあり、成長産業として位置付けることができる。スポーツ先進国の成功事例をロールモデルに、スポーツによる地域活性化やプロスポーツの充実化などをすすめ、スポーツ産業の成長が名目GDP600兆円到達につながることを期待したい。

61226_ext_01_0.jpeg[執筆者]
藤原 光汰 (ふじわら こうた)
ニッセイ基礎研究所
経済研究部 研究員

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、フーシ派巡りイランに警告 国防総省「広

ワールド

米、南ア大使のトランプ氏巡る発言「容認できず」 2

ワールド

トランプ氏から言質、ロシアの停戦条件順守巡り=仏大

ワールド

イスラエル軍、シリア南部を空爆 2人死亡・19人負
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平
特集:2025年の大谷翔平
2025年3月25日号(3/18発売)

連覇を目指し、初の東京ドーム開幕戦に臨むドジャース。「二刀流」復帰の大谷とチームをアメリカはこうみる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料高騰問題」の深層
  • 2
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で2番目に「二酸化炭素(CO₂)排出量」が多い国は?
  • 4
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 5
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 6
    「トランプ錯乱症候群」(TDS)って何? 精神疾患に…
  • 7
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 8
    鈍器で殺され、バラバラに解体され、一部を食べられ…
  • 9
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 10
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 5
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 6
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料…
  • 7
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 8
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 9
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 10
    中国中部で5000年前の「初期の君主」の墓を発見...先…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 8
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中