最新記事

貿易

米中通商合意「第1段階」合意の内容とは?

2020年1月16日(木)08時24分

トランプ米大統領(右)と中国の劉鶴副首相(左)は、貿易協議の「第1段階」合意文書に署名した。ホワイトハウスで撮影(2020年 ロイター/Kevin Lamarque)

トランプ米大統領と中国の劉鶴副首相は15日、貿易協議の「第1段階」合意文書に署名した。中国が米国製品の購入や米国のサービス利用を拡大することなどの見返りに、米政府は中国向けに発動済みの一部制裁関税の税率を引き下げる。

米通商代表部(USTR)が公表した詳しい内容は以下の通り。

中国による購入

中国は今後2年間で、2017年時点に比べて少なくとも2000億ドル相当、米国の製品やサービスの購入を増やすことに同意した。輸入拡大は「2021年以降も数年間、同じペースで続ける」という。

貿易摩擦が始まる前の17年に中国は、米国製品を1300億ドル、米国のサービスを560億ドル買っていた。

項目別に中国の購入方針を見ると、米国の工作機械や電子機器、航空機、自動車、医療機器などの工業製品は17年比で今年329億ドル、来年は448億ドル購入を増やす方針だ。つまり今年の工業製品購入額は1200億ドル、来年は1319億ドルになる、とUSTRは説明している。

液化天然ガス(LNG)や原油といった米国のエネルギー製品の購入予定額は今年が301億ドル、来年が455億ドル。

また中国は米国のサービス購入を今年128億ドル、来年は251億ドル増やす。これによりサービス購入額はそれぞれ999億ドルと1122億ドルになる見通しだ。

大豆や穀物、食肉など米国の農産品は2年間で320億ドル追加購入(今年は125億ドル、来年は195億ドル)する。その結果、2年間の購入総額は800億ドルに達する。USTRによると、このほか中国は年間でさらに50億ドルの農産品を買い入れる努力もする。

トランプ氏は署名式で、中国による米農産品購入額は500億ドルになる可能性があると発言した。

関税

今回の合意で米国は、昨年9月1日に適用を開始した1200億ドルの中国製品に対する15%の制裁関税について、税率を半分の7.5%に下げる。それ以前に発動した2500億ドルの中国製品への25%の制裁関税は当面変更しない。

トランプ氏は、25%の制裁関税は米中が「第2段階」の合意に達すれば撤廃できるとの見方を示した。

昨年12月15日に予定していた携帯電話やノートパソコン、玩具など約1600億ドルの中国製品に対する新たな制裁関税の発動は、無期限に停止されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾総統、太平洋3カ国訪問へ 米立ち寄り先の詳細は

ワールド

IAEA理事会、イランに協力改善求める決議採択

ワールド

中国、二国間貿易推進へ米国と対話する用意ある=商務

ビジネス

ノルウェー・エクイノール、再生エネ部門で20%人員
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中