グローバル化したファーウェイに同族会社の名残 一族が関連会社経営
中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は18万人超の社員を抱えて170カ国余りで事業を展開し、中国最大のグローバル企業の1つだろう。写真は、広東省東莞市で、ファーウェイのロゴがついた傘をさす人たち。5月31日撮影(2019年 ロイター/Jason Lee)
中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]は18万人超の社員を抱えて170カ国余りで事業を展開し、中国最大のグローバル企業の1つだろう。年間売上高は1000億ドルを超える。
しかし多くが通信と無縁の関連事業では、創業者である任正非・最高経営責任者(CEO)の親族が経営を牛耳り、同族会社の名残をとどめている。こうした事業はホテル経営から食品販売まで多岐にわたり、ファーウェイの社員と顧客が主な取引先だ。
任正非氏(74)はファーウェイの持ち株比率が1.14%にすぎない。ところが、社内関係者によるとその権限は絶大だ。拒否権を持ち、発言は常に全社員に回覧される。
ファーウェイの経営に任正非氏の親族が関与している事例としては、対イラン経済制裁に違反した容疑で昨年カナダで身柄を拘束された、任正非氏の娘の孟晩舟氏が有名だ。一方、孟氏ほど目立たないが、任正非の兄弟や息子、妻もファーウェイの関連会社で役職に就いている。
任正非氏の弟でファーウェイの監視委員会のメンバーである任樹録氏(63)は最高ロジスティックス管理責任者(CLO)として、ファーウェイに関連する建設、ケータリング、福利厚生などの業務を管轄している。広東省・東莞の松山湖での新拠点建設の仕上げや、2023年までに建設予定の深セン本社近くの社員向け集合住宅も任樹録氏の監督業務だ。
シドニー工科大学の准教授で中国企業の企業統治が専門のコリン・ハウズ氏によると、中国では国有企業でも民間企業でも、社宅などの施設建設や顧客獲得のための接待業務の提供などを企業が自前で手掛けるのは珍しいことではない。
ファーウェイの子会社で、任正非氏の息子の任平氏(44)がトップを務める深セン慧通商務は中国国内のほかタイ、サウジアラビア、南アフリカなどでホテル経営や集合住宅の供給を手掛けている。同社の経営するホテルは主にファーウェイの社員や同社の顧客を対象にしているが、一部のホテルは誰でもインターネット経由で予約できる。
ファーウェイは任樹録氏や任平氏、慧通商務の幹部などへのインタビューを拒否した。