成長続くインドの高級チョコ市場 農村部の消費拡大で熱き戦い
新製品投入、マーケティング拡大
モンデリーズのダーク・バンデプット最高経営責任者(CEO)は、同社がインドで展開している事業規模には、競合他社もなかなか太刀打ちできないだろうと言う。
「キャドベリー」ブランドはインドにおいて何十年も前から大規模な流通ネットワークを築いており、2010年に同ブランドを196億ドルで買収したクラフト・フーズも、そこに大きな魅力を感じていた。その後クラフト・フーズは、2つの企業に分割され、グローバル製菓事業はモンデリーズと名称を改めた。
バンデプットCEOはあるインタビューのなかで、「(競合他社にとって)食い込む余地を見つけ、店舗で目立つようになるのは簡単ではないだろう」と語っている。また、モンデリーズはここ数年、インドにおける市場シェアを着実に増やしている話した。
モンデリーズによると、現在、インドのチョコレート市場に占める同社のシェアは66%だ。195年の歴史を持つ英国の製菓ブランドである「キャドベリー」がインド市場に参入したのは1948年。以来、「デイリーミルク」「シルク」「ファイブスター」といったキャドベリー製品は広く親しまれてきた。「デイリーミルク」だけでも市場の40%を占めている。
ユーロモニター調べでは、市場シェアで2位につけるのはネスレ、これにフェレロとハーシーが続く。これら各社は推定市場シェアを明らかにしていない。
インドのチョコレート市場は年商19億ドル規模で、まだ成長の余地はたっぷりある。ユーロモニターのデータによれば、似たような人口規模の新興国である中国のチョコレート市場は32億ドルだが、米国市場の192億ドルと比較するとインド・中国両国とも大幅に見劣りがする。
再選戦略に余念のない現政権が多くの品目について売上税の大幅見直しを行ったことを受けて、チョコレートの売上高は昨年15.4%と大きな伸びを示した。市場調査会社ニールセンによれば、税率が28%から18%に引き下げられたことでチョコレートの小売価格は下落し、メーカー各社は宣伝費を3倍近くに増やしたという。
モンデリーズによれば、同社傘下の「キャドベリー」は、英広告大手WPPグループに属する広告代理店オグリビー・インディアを使い、数十年にわたってインド映画界のスター俳優を多数登場させたテレビCMを展開してきたが、今なおマーケティング支出を増やしているという。オンラインでの需要をつかむため、アマゾン・ドット・コム上に「キャドベリー」専門店を開設し、インドの年中行事に合わせたギフトボックスを提供している。
新製品も投入されている。先月、「キャドベリー」は低糖の「デイリーミルク」バーを発売した。成人の9%が糖尿病というインドにおいて、健康的な製品を求める市場が伸びていることに対応する狙いだ。