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テクノロジーさようならブロックチェーンの夢 金融界、規制強化で実を結ばず
米取引所ナスダックと米金融大手シティグループは2年前、ブロックチェーン技術によって私募証券取引の決済を効率化する新システムをお披露目し、「世界の金融セクターにおける一里塚だ」(ナスダックのアデナ・フリードマン最高経営責任者=CEO)とぶち上げた。写真は3月7日撮影(2019年 ロイター/Brendan McDermid)
米取引所ナスダックと米金融大手シティグループは2年前、ブロックチェーン技術によって私募証券取引の決済を効率化する新システムをお披露目し、「世界の金融セクターにおける一里塚だ」(ナスダックのアデナ・フリードマン最高経営責任者=CEO)とぶち上げた。
しかし事情に詳しい人物によると、このプロジェクトはその後進展していない。試験段階ではうまくいったが、全面的な採用となると費用が便益を上回ったからだ。
ブロックチェーンは「キラキラした幻想」であり、大規模な採用にはなお「時間を要する」とこの人物は言う。
銀行から大手小売企業、IT企業に至るまで、企業はブロックチェーン技術の採用に数十億ドルを投じてきた。しかし過去4年間に発表された大企業絡みのプロジェクト33件を検証し、プロジェクトに携わった10人以上の企業幹部に取材したところ、この技術はまだ成果を発揮していない。
うち少なくとも10件は試験段階で止まっている。その先に進んだプロジェクトも、まだ幅広い利用に至っていない。
一部の企業幹部によると、規制の壁がプロジェクトの実行を遅らせる例が多い。最近ではフェイスブックの暗号資産(仮想通貨)「リブラ」導入計画が世界中の規制当局から反発を買ったため、当局の監視は今後も厳しくなる一方だろう。
当初ウォール街を包んだ楽観論は消え、企業は今、本格的なプロジェクト稼動にはなお何年も要するという現実に目覚めている。
UBSの投資銀行部門で戦略的投資を統括するハイダー・ジャフリー氏は、プロジェクトが大きな影響力を持つに至るまでには3─7年かかるとの見通しを示した。
調査・コンサルタント会社グリニッチ・アソシエーツの推計では、資本市場と銀行セクターは昨年、ブロックチェーン計画に17億ドルを投資した。2016年から70%増加している。
調査会社IDCによると、22年までにはブロックチェーン投資が全産業で124億ドルに達する見通しだ。
一部の大手企業も参入を急いでいる。IBMはブロックチェーン技術を複数の異なる分野で活用するため、約1500人の従業員を計画に従事させている。
IBMとロンドン証券取引所によると、同技術を用いた両社の私募株発行システム開発計画は試験段階で止まっている。しかしIBMが多くの銀行と開発した貿易金融プラットフォームは商業化された。
IBMを含め、業界幹部らはブロックチェーン技術の将来性については引き続き強気で、投資も継続している。
スペインの銀行大手サンタンデールのデジタル投資銀行責任者、ジョン・フェラン氏は、ブロックチェーン計画は技術、需要、法令順守の3つに同時に取り組む必要があると指摘。「初期段階にブロックチェーンに関わったわれわれのような者は、3つの分野に同時に取り組むことの重要性を十分理解していなかったのかもしれない」と語った。
(Anna Irrera記者 John McCrank記者)
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