レゴ社の「原点」が記されていた1974年の手紙
夢をどう描くかは自分次第であり、私たち一人ひとりにかかっています。スタンフォード大学の卒業生、カイ・カイトの経験談には説得力があります。長年バイオリンを学び、将来を嘱望されていましたが、最近、自分以外の人間の夢を演じていたのだと気づいたといいます。きっかけは、母親が乳がんと診断され、宝石店を営む夢を断念せざるをえなくなったことでした。
そんな母の姿を見て、自分の運命は自分でコントロールし、望む未来を自分で切り拓こうと決意します。身につけたクラシック音楽をベースにしつつ、彼にしかできないユニークな曲作りに励み、演奏するようになりました。作品は好評で、演奏する機会にも恵まれています。こうした反響の大きさにカイは手ごたえを感じ、自分の夢を実現するのは他ならぬ自分なのだという思いを強めています。こうした気づきは、TEDの講演「自分の世界を構築する」で語られています。
想像力がクリエイティビティを生み、クリエイティビティがイノベーションにつながり、イノベーションが起業家精神を呼び起こす。そして、起業家精神が新たな想像力を刺激し......という「サイクル」の大切さを、シーリグは本書で訴えている。つまり想像力は、人生を切り拓く重要なひとつの要素なのだ。
夢をどう描くかは自分次第。それなのに、大人になって、想像力をふくらませることを忘れていないだろうか。
シーリグによれば、思い描く未来にたどり着くために必要なことは3つある。第一が起業家的な心構えで、それは世界各国でベストセラーとなった著書『20歳のときに知っておきたかったこと』(高遠裕子訳、三ツ松新解説、CCCメディアハウス)にまとめたという。第二は、問題を解決し、チャンスを活かすためのツール。それは2作目の著書『未来を発明するためにいまできること』(高遠裕子訳、三ツ松新解説、CCCメディアハウス)で取り上げた。
そして第三に必要なのが、ひらめきを形にするためのロードマップだ。最新刊『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』のテーマである。このシリーズでは、本書に収められたさまざまなエピソードをいくつか抜粋し、シーリグのメッセージと共に紹介していく。
※スタンフォード大学 集中講義(1):悪行をやり尽くした末、慈善活動家になった男の話
※スタンフォード大学 集中講義(3):ある女性の人生を変えた、ビル・ゲイツがソファに座った写真
※スタンフォード大学 集中講義(4):やる気の源を尋ねたら、その会社は数か月後に行き詰まった
※スタンフォード大学 集中講義(5):プライベートジェットで「料金後払いの世界旅行」を実現する方法
※スタンフォード大学 集中講義(6):「解決策を100個考えなさい」とティナ・シーリグは言った
<*下の画像をクリックするとAmazonのサイトに繋がります>
『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』
ティナ・シーリグ 著
高遠裕子 訳
三ツ松 新 解説
CCCメディアハウス
『20歳のときに知っておきたかったこと
――スタンフォード大学 集中講義』
ティナ・シーリグ 著
高遠裕子 訳
三ツ松 新 解説
CCCメディアハウス
『未来を発明するためにいまできること
――スタンフォード大学 集中講義II』
ティナ・シーリグ 著
高遠裕子 訳
三ツ松 新 解説
CCCメディアハウス