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焦点:資源大手BHPとリオ、シェア獲得戦略に豪政界から批判

供給過剰がもたらす鉄鉱石の価格下落で豪政府の税収が目減り

2015年5月14日(木)11時50分

英豪系資源大手のBHPビリトンとリオ・ティントは、低コストの鉄鉱石を大量に供給して市場を独占する経営戦略が鉄鉱石価格の下落を引き起こしたと豪政界から批判を浴びている。写真はBHPのマッケンジーCEO、ヒューストンで2014年3月撮影(2015年 ロイター/Rick Wilking)

[シドニー 13日 ロイター] - 英豪系資源大手のBHPビリトンとリオ・ティント は、低コストの鉄鉱石を大量に供給して市場を独占する経営戦略が鉄鉱石価格の下落を引き起こしたとオーストラリア政界から批判を浴びている。

議会上院のニック・ゼノフォン議員(無所属)は鉄鉱石の供給過剰によるオーストラリア経済への打撃の有無を調査するよう要求。14日に調査の是非を投票に諮ると述べた。

ジョー・ホッキー財務相によると、鉄鉱石の価格下落でこの1年間に失われた政府歳入は200億豪ドル(160億米ドル)。今週発表する2016年度予算案は鉄鉱石価格が向こう1年間に48ドル以上を維持できるかにかかっているという。

鉄鉱石はオーストラリアにとって外国からの収入の柱だが、4月には価格が46.70ドルと1年前の半分以下に下がった。価格はその後やや持ち直した。

今週に入ってからはフォーテスキュー・メタルズの創設者、アンドルー・フォレスト氏がBHPとリオに増産中止を義務付けるよう政治家に働き掛けたことで両社の調査に向けた動きが強まった。フォレスト氏は鉄鉱石価格が1ドル下がるごとに外国からの収入が8億豪ドル減少すると警告している。

一方、リオとBHPは、両社の経営戦略は正当で、鉱業に依存するオーストラリア経済にとって最終的には資すると主張している。両社は今週、供給を拡大してシェアを握る戦略について、低コストの製品を供給することで高コストの生産業者を駆逐するものだとそろって擁護した。リオとBHPの鉄鉱石生産コストは世界で最も低い部類に入る。

BHPのアンドルー・マッケンジー最高経営責任者(CEO)は12日の会合で「われわれは非常に競争が激しく、循環的な市場を相手にしている。この市場で景気の循環を乗り切って他社を上回る利益を上げられるかは、供給の抑制ではなく最も効率的な供給を行うかどうかにかかっている」と述べた。

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