スマートフォンはレストランの敵?
「明らかにデマだろう」と、レストラン業界に10年以上従事した外食産業ライターのルーク・オニールは言う。「意見を主張するためのでっち上げだ」
ここ数年、スマホはレストラン業界にとって、間違いなく激論必至の際どい話題になっている。携帯で写真を撮ったりSNSに掲載することが食事の時間を台無しにすると声高に非難するシェフもいれば、テーブルで携帯の使用を禁止する店もある。だが、携帯の使用は本当にレストランのサービスの支障となっているのだろうか。
「そう感じたことはない」と、マンハッタンのチェルシー地区のレストラン「タオ・ダウンタウン」の総支配人パトリック・デュクスベリーは言う。「当店には一晩に600〜800人以上の客が訪れる。スマホに邪魔をされているのだとしたらこんな人数は接客できないはずだ」
お祝いやバースデーのディナーでよく使われるため、タオの店内では写真撮影をする客も多いが、それは店にとって決して悪いことではないとデュクスベリーは言う。「写真がSNSにアップされ、多くの人の目に触れる」からだ。
「接客の妨げにならない」
そう思うのは彼だけではない。マンハッタンのミッドタウンイースト(クレイグズリストの投稿者と同じ地区だ)の店「イーソス」のオーナー、ジョン・カペタノスによれば、ウエーターにグループ写真の撮影を頼むのは客の1割ほど。1分もかからないから喜んで手を貸すし、接客の妨げにもならないという。
イーソス開業から12年以上。昔と比べてスマホが1テーブル当たりの平均食事時間をおそらく5〜10分長くしているが、こうした客が他の客に迷惑でも掛けない限り気にならないとカペタノスは言う。
ミッドタウンのフレンチレストランでウエーターとして働くジャンマルテは、スマホはかえって役に立っているという。メニューを読めない外国人観光客が口コミサイトを見ながら、「これが欲しい」と指さすこともできるからだ。
シカゴのリサーチ会社テクノミックは2012年、レストランの客がどれほど携帯を利用しているかを調査した。約30%が食べ物の写真を撮影すると回答し、9%は携帯で支払いをすると答えた。