最新記事

テクノロジー

次世代iPhone「入手」の波紋

試作品を社員がバーに置き忘れた? 返却を求めるわけにもいかない秘密主義アップルの痛いジレンマ

2010年4月20日(火)18時13分
ダニエル・ライオンズ(テクノロジー担当)

世紀の発見? ギズモードが掲載した携帯電話の写真。iPhoneの試作品だと大騒ぎになっている 

 ハイテクジャーナリズムの世界では、イエス・キリストの聖杯を手に入れたも同然の大発見だ。次世代型iPhoneが、バーで見つかったのだ。おそらくアップルの社員がうっかり置き忘れていったものだと思われる。

 4月19日にはガジェット情報専門ブログのギズモードに、あらゆる角度から撮影したこの携帯電話の写真が掲載された。これが本当に発売前のiPhoneなら、病的な秘密主義と万全のセキュリティ体制で知られるアップルは、かなりのパニック状態に陥っていることだろう。

「今週は我がブログにとって最大のアップル・ウィークだ」と、ギズモードの編集長ブライアン・ラムは言う。「最高だ。素晴らしい」

 同サイトには、ギズモード自らコメントを削除しなければならないほどアクセスが殺到。その勢いは「サーバーが火を噴く」ほどだったという。

 ラムたちは、この電話はコピー商品の類ではなく本物だと確信している。アップルは次のiPhoneを6月に発表する予定なので、シリコンバレーに試作品が出回っていてもおかしくない。

 発見者の主張では、電話はiPhone3GSの外箱に入っており、本体を覆うプラスチックのカバーも3GSに見えるように作られていた。ところが本体を取り出すと、ニューモデルだったという。現行モデルより薄い新デザイン。カメラの数も増え、1つはテレビ会議用に前面に設置されている。

ブロガーを利用するのがアップル流

 ギズモードがこの電話を分解してみると、中は「Apple.」と刻まれた部品で一杯だった。起動はしないが、最初に電源を入れたときにはアップルの新しい携帯電話用OS(基本ソフト)が起動したと発見者は主張する。その後、おそらくアップルによる遠隔操作で、使用不能になったという。この新型携帯電話は3GSより若干(3グラム)重く、バッテリーの性能も向上しているようだ。

 この話を最初にスクープしたのは、ギズモードの最大のライバルであるアンガジェットというブログ。カリフォルニア州サンノゼのバーで電話が見つかったとし、写真をギズモードに先駆けて掲載した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中