「クラウド化」安全神話の崩壊
ツイッターの極秘資料が盗まれた
一方でカーは、数百万の会社を1つの大きなプロバイダーに集めることで、格好の標的をつくってしまうことになると指摘する。クラウド内に侵入したハッカーは、すべてのユーザーのデータを手に入れることができる。
企業がそれぞれ自社のデータセンターを運営し、自社でセキュリティーを構築した場合、そのシステムは乱雑で断片的になってしまう。だが皮肉なことに、システムが乱雑で断片的なことは、ハッカーからの最大の防御壁になる場合もある。
グーグル・アップスは、侵入が容易なことがすでに判明している。ツイッターは自社の極秘資料をアップスに保存していたが、昨年に何者かにハッキングされ、資料をITブログにリークされた。流出したデータには、恥ずかしい自慢話や将来の成長予測なども含まれていた。
攻撃は難なく成功したようだ。ハッカーはツイッターの事務系の従業員の個人メールアカウントに侵入し、そこからアップス上の資料へのアクセス方法を入手した。ツイッターは、グーグルではなく自分たちに責任があるとしているが、グーグルの信頼を高めるエピソードでないことは確かだ。
自社のクラウドサービスは安全だとグーグルは主張する。だがそんなときは、あることを心に留めておく必要がある。グーグルはこれまで、その時々で都合のいい発言を繰り返してきたということだ。これもまた、今回の中国との問題で明らかになった。
06年にグーグルは、中国政府の検閲に協力するのは正しいことだと発言した。今では、検閲は悪だと言っている。
こんなやつらを信用して、自分の会社の貴重なデータを預けられるだろうか。中国での失態を見た今、企業は考え直してみたほうがいいかもしれない。