最新記事

エコノミスト

クルーグマンのコラムは読まなくていい

経済学者ポール・クルーグマンは何度も同じことを書くので、この7点さえ覚えておけば、当面は彼のコラムを読まなくてもいいはずだ

2009年11月17日(火)16時23分
ダニエル・ドレズナー(米タフツ大学フレッチャー法律外交大学院教授)

御託宣 ノーベル賞経済学者クルーグマンの発言は何かと注目されるが Chip East-Reuters

 きょうのニューヨークタイムズ紙のコラムで、経済学者ポール・クルーグマンが中国とアメリカとの間のマクロ的不均衡の問題について書いている。それはいいのだが、問題は先月もまったく同じコラムを書いていたことだ。先月と同様、今回のコラムはいくつかの良い指摘をしているが、いくつかの重要な力学に触れていない。有益な引用を除けば目新しいものは何もない。

 クルーグマンの同じコラムを何度も読む手間を省くため、当ブログの仕事熱心なスタッフ(私のことだ)が下記のようなメモを用意した。多忙な読者へのサービスの一環だ。私の予想では、今後6カ月のクルーグマンのコラムは次のような主張に要約できるだろう。

1.マクロ的不均衡の元凶は、中国が人民元をドルに連動させて(割安に保って)いることだ。

2.オバマとガイトナー財務長官は中国のドル政策に「厳しく」対応すべきだ。

3.アメリカのインフレ懸念は、いわばインフレ状態にある(誇張されている)。

4.上昇する債務水準への長期的な懸念は、もっとインフレ状態にある。

5.2009年2月の景気刺激策は小さ過ぎた。

6.共和党員は視野が狭い。

7.オバマ政権はもっと党派的かつ進歩的に行動すべきだ。

 念のために言うと、私は現時点で1、3、6に同意する。4と5についてはさっぱり分からない。つまり、クルーグマンの書いていることが間違っているというわけではない。まったく同じことを何度も繰り返し書いていることが問題なのだ。

[米国東部時間2009年11月16日(月)09時28分更新]

Reprinted with permission from Daniel W. Drezner's blog, 17/11/2009. ©2009 by Washingtonpost. Newsweek Interactive, LLC.

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英消費者信頼感指数、4月は23年11月以来の低水準

ビジネス

3月ショッピングセンター売上高は前年比2.8%増=

ワールド

ブラジル中銀理事ら、5月の利上げ幅「未定」発言相次

ビジネス

米国向けiPhone生産、来年にも中国からインドへ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考えるのはなぜか
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 6
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 7
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 8
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    欧州をなじった口でインドを絶賛...バンスの頭には中…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中