悪者にされた金持ちたちの大逆襲!
英高級車ブランド、ベントレーのクリストフ・ジョルジュ社長は、いまアメリカは「自責」の念に駆られていると書く。それでも、イギリスのクルーにある同社工場の4000人の従業員は「ベントレーを所有するのが悪」などという考えを受け入れないはずだと付け加える。
贅沢バッシングの最大のターゲットは恐らく自家用ジェット機かもしれないと、アンダーセンらは口をそろえる。08年秋、米政府の支援を求めてワシントンにやって来た米自動車大手ビッグスリーのCEOは、3人とも自家用ジェットに乗ってきたことで袋だたきに遭った。その後、彼らは会社が保有するジェット機を減らした。
また450億ドルの公的資金の注入を受けているシティグループは、幹部用に5000万ドルのジェット機を注文していることがばれて注文をキャンセルせざるを得なくなった。
過剰な出費に見えるかもしれないが、自家用ジェットは1500億ドル産業で、約100万人の雇用を生み出していると、高級自家用機メーカー、ホーカー・ビーチクラフトのW・W・ボイスチャーCEOは言う。自家用ジェット機に対するポピュリスト的な反感のおかげで、業界は既に3万人の職を失った、と彼は主張する。
金持ちバッシングは金になる
CEOや富や贅沢を攻撃するのは、「マスメディアやオバマ政権、そしてアメリカ人の97%にとって」商業的あるいは政治的に好都合なのかもしれないと、ミシシッピ大学雑誌革新センターのサミル・フスニ所長は言う。
ロブ・リポートが少数のお金持ちを精力的に弁護しようとするのは驚くに当たらない。同誌の読者は、平均54歳、世帯年収121万ドル、主たる住居の資産価値は160万ドルで、そのほかに338万ドル相当の不動産を所有している。
贅沢中の贅沢を集めた年1回の別冊「ベスト・オブ・ザ・ベスト」などは、まさにフォーブス誌の世界億万長者ランキングに入るような人向けのショッピングリストだ。
「こういう時代に、3%の少数派を擁護するのは勇気ある行為だ。だが、それが彼らの収入源でもある」と、フスニは言う。だから、盲目的に金持ちを擁護したとしてもこの雑誌を責めるわけにはいかないだろう。
[2009年7月15日号掲載]