新型コロナで窮地の習近平を救った「怪我の功名」
「焼け太り」中国vsアメリカの新冷戦
まず、ポストコロナの習近平政権は以前よりも磐石となり、独裁者としての習の地位はさらに強固たるものとなろう。何しろ今の彼は、「素晴らしい決断で国を救った英雄」となっている。
そして、共産党の一党独裁体制もさらに強化される。国民の命を救ったとされる共産党指導の「制度的優越性」というのは、今後において一種の魔術的な言葉となって共産党擁護の殺し文句となっていく。共産党統治はしばらく安泰であろう。
しかしその一方、国際関係においては中国と国際社会との乖離、そして中国とアメリカとの対立は今後ますます深まり長期化していく。
これから、アメリカを中心にコロナウイルスを拡大させた中国の責任を追及し、賠償を求める国際的な動きが広がっていくだろう。だが中国は当然、それには一切応じずにして徹底的に反発する。中国はいかなる責任も認めることはしない。「ウイルス拡散」の責任を認めてしまえば、それがウイルス退治の「英雄」である習の名前に傷づくからである。
その一方、「制度的優越性」に自信を深めた共産党政権はより一層、西側の期待する民主化への道に背を向けて一党独裁体制の強化と永続化を目指していくであろう。それと同時に、疫病との戦いに「勝利」した習政権はますます、「中国の力」をバックに経済・軍事・国際戦略などのあらゆる側面において、アメリカとの対決姿勢を強めていくに違いない。
中国国内における専制体制の強化と米中対立の本格化・長期化こそ、「中国」を軸にしてみた時のポストコロナの世界の構図なのである。
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