「習vs.李の権力闘争という夢物語」の夢物語

習近平と李克強の「権力闘争」を論じることは中国の強国化を助けるのか? Karl Dong-REUTERS
<先日の筆者のコラム「習近平vs李克強の権力闘争が始まった」に反論文が寄せられた。これに再反論する>
9月1日、Yahoo!ニュースとニューズウィーク日本版オフィシャルサイトの両方にある寄稿が掲載された。「『習近平vs.李克強の権力闘争』という夢物語その1」「その2」というタイトルである。文章のタイトルからしても、この寄稿文の筆者自身の説明からしても、「習近平vs.李克強の権力闘争」説を主張する「権力闘争論者」に対する論破と批判を内容としている。
「権力闘争論者」は誰のことを指しているか、筆者は明言していない。しかし、この寄稿が掲載されたその前日の8月31日、同じくニューズウィーク日本版オフィシャルサイトとYahoo!ニュースの両方に私の論考「習近平vs.李克強の権力闘争が始まった」が掲載された。少なくとも、筆者の批判する「権力闘争論者」には私、石平が入っていると思うべきであろう。
【参考記事】習近平vs李克強の権力闘争が始まった
同じ中国問題を論じるこの筆者と、正しく議論することは私も大歓迎である。ただしそれが間違った批判であれば、当然反論しなければならない。
反論のために批判文を読み直すと、まず気づいたのはその長さである。おそらく私の論考の倍くらいあるはずであるが、長さのわりに「あら」が目に付く。批判の論点をいくつか拾って反論しよう。
例えば、今年6月に李克強首相が「露天経済」を提唱した一件について、批判文の「その1」は、「日本の権力闘争論者は『習近平の了承も得ずに禁止されている露天商を推薦したのは習近平への反乱だ』という趣旨の主張をしている」と批判を展開している。だが、これは間違っている。
私は確かに、6月18日の産経新聞掲載のコラムで、李首相の「露天経済提唱」の一件を取り上げた。しかし私はこのコラムでも別のところでも、「習近平の了承も得ずに禁止されている露天商を推薦したのは習近平への反乱だ」とは論じていない。むしろその逆のことを言っている。つまり、李首相が「露天経済」を提唱してから数日後、北京日報などが「露天経済は要らない」と否定し始め、結果的に習近平主席サイドに潰された形になったという事実関係を、「習近平vs.李克強の権力闘争」の証拠として取り上げている。「李克強の露天商推薦は習近平への反乱」とは言っていないし、「権力闘争論者」の誰かがこう論じているのも見当たらない。
つまり、「露天商を推薦したのは習近平への反乱だ」という「論」は、決して「権力闘争論者」の「論」ではなく、それは批判文の筆者が言い出して私たちに押し付けたものである。人の言っていない「論」を押し付け、人を批判するのは文革時代の紅衛兵たちの「壁新聞」を彷彿させる。
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