- HOME
- コラム
- Superpower Satire (CHINA)
- 習近平が開いた中国「民間企業家座談会」の恐るべき真…
習近平が開いた中国「民間企業家座談会」の恐るべき真意

©2025 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN
<習近平が先日、北京で開いた「民間企業家座談会」。名前こそ「座談会」と穏やかな印象だが、その実は共産党が企業家たちに服従を求める場だった>
習近平国家主席は先日、北京で中国の民間企業家を集めた座談会を主催した。官製メディアのニュース写真では、共産党指導者だけがカメラに顔を向け、出席した企業家はみな後ろ姿しか写っていなかった。このため、中国ネットは「企業家の後頭部識別コンテスト」で盛り上がった。
誰が会議に招かれたか、招かれなかったのか、企業家たちの座席順位はどうだったのか──。中国政府の公開会議は決まり文句ばかりなので、政府の政策の本当の方向性を理解したいなら、出席者や発言者、座席の順位などをしっかり観察しなければならない。一見無関係に見える細部にこそ、最高権力者の真意が隠されているからだ。
例えば、今回の座談会に金融業者と不動産業者はほぼ見当たらず、前列真ん中の習と対面する座席は製造業とハイテク産業の企業家ばかり。このことから、中国経済の将来は金融や不動産でなく、製造業とハイテク業界に偏るだろうと推測できる。
権力者の本音や気持ちなどを推量する「揣摩聖意(しませいい)」は、1000年前から伝わってきた中国の生きる法則だ。中国の企業家は、いくらカリスマやカネがあっても、後ろ盾となる権力者がいなければ、死ぬよりもひどい生活を送ることになる。かつて中国一の大富豪だったアリババの馬雲(ジャック・マー)がその最たる例だ。マーは金融当局を公に批判してIPO(新規株式公開)を政府に中止させられ、官製メディアから猛批判された。
マーは今回、命じられて座談会に出席したのだろう。かつてカリスマ経営者として輝いた彼は、わざと習が好きな人民服に身を包み、端に座って習の談話を熱心にメモしていた。
習近平が開いた中国「民間企業家座談会」の恐るべき真意 2025.03.05
『ナタ2』が大ヒット中だが、中国アニメ映画に世界市場は不要? 2025.02.19
新型コロナのパンデミックから5年、中国人はなぜ李文亮を懐かしむのか 2025.02.10
中国の特色ある観光公害......「強制消費」とは何なのか? 2025.01.21
中国ネットに住む「聴床師」たちとは何者か? 2024.12.26
「新疆綿使っていない」発言と、ユニクロ好きが消えた中国 2024.12.14
「世界で最も安全な国」中国で続く無差別殺傷事件の本当の動機 2024.11.28