知られざる数億ションの世界(1)丸見えで恥ずかしい浴室が当たり前?その理由は......
ベッドからよく見える位置にガラス張りの浴室……いったい何のために? 筆者撮影
<一般に公開されることなく販売されることが多い「数億ション」、「10億ション」内部の知られざる世界>
■「知られざる数億ションの世界」第2回の「照明がつかない住戸には大型金庫がある」を読む
キングサイズのベッド正面に浴室があり、しかも総ガラス張り。ベッドから丸見えになるように浴室を配置しているのは、ある種のホテルのものではない。都心部で分譲されているマンションのモデルルームだ。
といっても、当然ながら普通の住戸ではない。
都心部で分譲価格が数億円となる高額住戸=いわば数億ションのモデルルームでは、このようにちょっと恥ずかしい、というか、誰が何の目的で使用するのだろうと首をかしげたくなる寝室+浴室を目にすることが多い。
販売価格が10億円を超える10億ションでは、さらに巨大でジェット噴流付きの浴槽がガラス張り内に設置されることもある。まさに、何のために?である。
まさか、密会の場所として購入?
分譲価格が数億円、ときに10億円を超える高額住戸を若い世代が購入することはまずない。財産を築いた熟年の富裕層が典型的な購入者像となる。が、お年を召したご夫婦が、このように開放的な浴室を好むとは考えにくい。
そこから、「さては、夫が都心のプレイルームとして密かに購入するのか」と想像する人も出てくる。
お金持ちの男性が都心のマンションを購入し、内密にお付き合いする女性と逢瀬を楽しむための部屋、と想像を膨らませるわけだ。
そのように考えたくなるのも無理はないが、それは妄想というべきもの。富裕層といえど、数億円の買い物を妻に内緒で行うことはむずかしい。それ以前に、発覚したとき、言い逃れができないモノを買うはずがない。
では、このような浴室は、誰のために、そして何のためにつくるのか。その理由に、高額マンションの知られざる実情が隠れている。
こんなこともできます、とアピールする場
分譲価格が安くても数億円、高い住戸は10億円以上という高額マンションは、一般に公開されることなく販売されることが多い。
たとえば、総戸数20戸ですべて10億円以上というような物件は、限られた購入者を対象に、ひっそりと販売される。当然ながら、そのモデルルームも一部の人しか見ることができない。
冒頭に掲げた写真は、現在、都心部で分譲されている「パークコート神宮北参道」のもの。全471戸の大規模マンションで、そのモデルルームが昨年11月、マスコミに公開された。その際、高額住戸のモデルルームも公開されたので、主寝室の浴室を撮影した。
マスコミに発表され、写真撮影も許可されたため、特殊な浴室+寝室の写真も公開可能となった。が、これは、レアなケースだ。
戸数規模が小さい高額マンションは、マスコミにモデルルームを公開することはない。特別に取材できても、撮影は不可となるのが普通だ。
つまり、高額マンションのモデルルームにおける浴室の写真は表に出にくい。だから、全面ガラス張り浴室の写真を見て驚いた人も多いだろう。
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