知られざる数億ションの世界(1)丸見えで恥ずかしい浴室が当たり前?その理由は......
しかしながら、前述したとおり全面ガラス張りの浴室は、超高額マンションにおいては「よくあるパターン」なのだ。
そう書くと、高額マンションを買う人は、ガラス張りの浴室が好きなのか、と思われがち。そうではなく、「お望みなら、ここまで大幅な間取り変更もできます」とアピールする目的で、ガラス張りの浴室がつくられるのである。
高額マンションのなかでも10億ションは、間取りや設備のほとんどがオーダーメイドとなる。
あらかじめ用意された間取りはあるが、購入者の希望でどのような間取りも設備も可能になる(その分、追加費用が発生する)。
どんな部屋にするかは、購入者次第。なので、モデルルームは、「こんなこともできます」というショールームの性格が強くなるわけだ。
その際、思い切った提案を行うのがキッチンと浴室。キッチンと浴室は工夫ポイントが多いし、素材や設備機器にいくらでもお金をかけることができる。つまり、プランナーの腕の見せどころとなる。
といっても、キッチンは使いやすさが重要なので、遊びの要素を加えにくい。その点、浴室は思い切り遊べるし、突拍子もないこともできる。
遊び心があって、突拍子もないデザインとして、全面ガラス張りの浴室が生まれてしまうわけだ。
「見学者をびっくりさせるような演出」との前提で、冒頭の写真を改めて見てみよう。
この写真を基に、浴室とベッドの間に木質の壁と木質ドアを付けた状態を想像していただきたい。ガラスを外し、ベッド側から浴室と脱衣スペースが見えないようにするわけだ。
そうなると、寝室に併設された普通の浴室空間になってしまう。
「ガラス張りの浴室」は、普通の浴室をこのように演出することも可能です、と実証しているだけなのだ。
実際に、よくつくられる浴室とは......
では、ガラス張りの浴室を見た購入希望者はどのような反応を示すのか。
ベッドから丸見えになる浴室をそのまま採用するのは、1人暮らしの人くらい。それはそうだろう。家人から丸見えになる浴室は落ち着かない。
一方で、「入浴すると、見晴らしがよい」浴室を好む人は多い。浴室を大きな窓のそばに移し、展望風呂のようにするわけだ。それも、高額マンションの"あるある"なのである。
タワーマンションの最上階に設定された高額住戸で、窓に面した浴室+トイレを特注した人もいる。展望風呂とともに、眺望を満喫しながら使用できるトイレも求めたわけだ。
ちなみに、そのトイレを希望したのは、男性ではなく女性。もちろん、外からトイレ内は見えず、便器に腰掛ければ正面に大きな空が見える。開放的なトイレに憧れていたのだそうで、そんな夢を実現できるのも、数億ション、10億ションの世界なのである。
※当記事はYahoo!ニュース個人からの転載です。
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