知られざる数億ションの世界(2)夜、照明がつかない住戸には大型金庫がある
上層階に数億ションが多くなる都心の超高層。暗い部屋に大金庫がある秘密とは(イメージ写真) kanzilyou-iStock.
<数億ションや10億ションには、特別な買い手特有の事情がある>
新築時の分譲価格が数億円、ときに10億円を超える高額住戸=数億ション、10億ションには、独自の設計があるし、特殊な事情もある。
高額のお金を出して購入したはずなのに、夜、照明がつかない、つまり使っていないのでは、と推測される住戸が目立つのも特殊事情のひとつだ。
照明がついていないのを見て、さては中国の人が投資目的で購入し、値上がりするまで寝かせているな、と推測されることがある。
しかしながら、高額マンションの販売現場で「中国本土からの購入者が多い」という話は聞いたことがない。台湾と香港からの購入者はいるが、それは以前から一定数いるもので、近年特に増加しているわけではない。
では、購入者で多いのはどんな人か。
■「知られざる数億ションの世界」第1回の「丸見えで恥ずかしい浴室が当たり前な理由」を読む
■「知られざる数億ションの世界」第3回の「超高額住戸って、どれだけ広いものなの?」を読む
数億ション、10億ションの購入者で目立つのは、日本人で地方在住の富裕層だ。
都心の高額マンションは、別荘より利用頻度が高い
地方在住の富裕層は、東京に出てくる機会が多い。仕事で、そして夫婦で遊びにも来る。さらに、子供が東京の大学等に入学することもある。
そのため、東京での拠点として、また大学等に通う子供の住まいとして高額マンションを買うケースが多いのだ。
息子、娘が東京で1人暮らしを始めれば、心配だから、という口実で母親が度々東京に遊びに来る。部屋数の多い高額マンションであれば、母親が何日いても息が詰まることはない。
また、親類が東京でのホテル代わりにすることもある。
東京在住者がリゾート地で購入する別荘より利用頻度ははるかに高い。そのため、地方在住の富裕層が購入する都心の高額マンションはセカンドハウスとしての利用価値が高いことになる。
つまり、購入してもムダにはならない。「そんなもの買って、誰が使うのよ!」とは言われないわけだ。
そして、都心の高額マンションは値下がりしにくく、大幅な値上がりも期待できる。相続時の節税効果を考えて購入する人もいる。
以上の特性があるため、都心の高額マンションは地方の富裕層に積極的に購入される。
ただし、都心の滞在拠点として購入される高額マンションは「頻繁に利用される」といっても、その日数は限られる。大学等に入った子供が定住しなければ、1年のうち100日も利用すれば多いほうだろう。そうすると、残り200日以上は夜も照明がつかないことになる。
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