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ポスト・アベノミクスに待ち構える困難とは?
新自由主義からの方針転換を打ち出した岸田新首相だが Kim Kyung Hoon-REUTERS
<経済政策の看板として「格差是正」を掲げる岸田政権だが、政策として実行可能なゾーンはそれ程、広くない>
発足した岸田政権の経済政策には「分配による格差是正」などの「新しい資本主義」という看板が掲げられています。宏池会「創業者」の池田勇人が1960年に掲げた「所得倍増」という言葉も使われています。
ですが、岸田首相は別に自由経済を否定しているわけでもないし、産業の競争力や活力を殺すような規制を進めるわけでもないと思います。政策の名前は変わっても、税制や福祉のチューニングを変えて、現役世代、子育て世代への支援になるように調整したり、リターンの見込みのある地方振興策には資金を用意するといった現実的な話だと理解できます。
しかし所得倍増に至っては、実現は簡単ではありません。日本のオフィスワークが「日本語」「紙とハンコ」「対面コミュニケーション」といった理由から生産性の低迷に苦しんでいる現状を変えて、徹底した標準化、自動化を進めなくては成立しない話です。
そんなわけで、格差是正とか所得倍増といっても、そんなに夢のような転換が起きるわけではないと考えた方が良さそうですし、政策として実行可能なゾーンというのは、広くはないと言えます。
問題は円安誘導政策
そんな中で、気になるのがアベノミクスの今後です。アベノミクスについては、「修正」つまり、看板としてはおろされるようです。ただ、「3つの矢」のうち、2番目の公共投資については、やめるわけではないと思います。また、第3の問題である構造改革については、デジタル化にしても、生産性向上にしても、待ったなしの課題になっていますから、岸田政権としても逃げるわけにはいきません。
問題は、「第1の矢」である金融緩和、特に円安誘導政策についてです。確かに、安倍、菅の2つの政権を通じて、円安政策が続きました。当初は、円安が株高を実現したという印象から、漠然とした好況感が発生しました。ですが、その効果は限定的であったし、近年はその弊害が顕著になっています。
効果が限定的だったのには、3つの理由があります。
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