コラム

双方の副大統領候補がともに「条件クリア」を証明したテレビ討論

2020年10月09日(金)15時45分

そこで今後の展開については、以下の4パターンが考えられることになります。

1、トランプがリモート討論を拒否。バイデンもリアルな開催を拒否。結果的にテレビ討論は実施できず、トランプは会場のフロリダで独自の選挙集会開催へ。おそらくその場合は、バイデンも独自集会を実施か。

2、トランプが受け入れてリモート討論が成立。

3、バイデンが妥協して、前回と同様のリアル討論が実現。

4、トランプが動けず、健康不安が一気に高まる。

という4パターンです。また、どんな形であれ実際に行われた場合には、大統領が元気な姿で長時間の討論を完走できるかは大きな注目点となると思います。ただし、仮に実現したとしても、副大統領候補討論のように「クリーンな」議論は期待できないと思います。

第1回討論では、大統領のメチャクチャな「野次り倒し作戦」が大きな批判を浴びましたが、大統領の支持層からは「エネルギッシュで良かった」とか「迫力でバイデンを圧倒した」などという「賛辞」が寄せられているからです。そうしたコア支持者の期待を裏切ることは、この大統領はしないので、かなりの確率で前回以上の「カオス状態」となる可能性は高いと考えられます。

もちろん主催者側も、司会の権限を強めたり、発言していない側のマイクを「ミュート」にするといった強硬手段に出るかもしれません。また、予定では今回の第2回は「タウンホール・ミーティング形式」という、選ばれた有権者が次々に質問して、候補がそれに答えるというスタイルが取られることになっています。

その場合は、一般有権者の質問を妨害したりすれば、候補のイメージダウンになるでしょう。ですが、それでもメチャクチャをやってしまうのがトランプという人物で、それを表現できれば「元気な自分」をアピールできる、そう思い込んでいる可能性は高いと思います。

10月15日に第2回のテレビ討論が行われるのか、行われないのか、行われたとしてどんな展開になるのか、そして大統領は90分の討論を完走できるのか――こうした点が、今回の大統領選の最終的な結果を左右することになると思います。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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