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首都圏の大雪災害に備えて、計画運休を定着させるべき
平成26年豪雪で、山梨県の住宅地で乗用車に積もった雪を除去する自衛隊員 The Japan Ground Self-Defense Force/REUTERS
<「平成26年豪雪」のような大雪被害に見舞われるかどうかは、南岸低気圧の通り道次第なので直前まで予報が困難>
毎年、1月から2月にかけて首都圏でも雪が降ることがあります。日本列島に沿って、その南を西から東に移動する「南岸低気圧」が来ると、一定の条件を満たした場合に雪が降り、場合によっては大雪となるのです。この南岸低気圧というのがクセモノで、「雪になるか雨になるか」予報が難しいことで知られています。
昔から言われているのは、沿岸に近い場合は雨になるという傾向です。これは、南岸低気圧そのものは暖気の上昇気流によってエネルギーを得るので、暖気を伴っているからです。反対に、沿岸から離れて通ると、暖気の影響は少ない一方で、大陸から中部地方を越えてきた寒気を引っ張るので雪になります。ただ、沿岸からあまり離れると降水量自体が減るので何も降らないこともあります。
アメリカの東海岸にも似たような「ノーイースター」という低気圧があり、冬になると、「雪になるのか雨になるのか」、天気予報チャネルも頭を悩ませます。そこで近年は、アメリカのアルゴリズムとヨーロッパで使用されているアルゴリズムの双方を提示して、「予報の難しさ」をアピールする局も出てきています。
とにかく、この南岸低気圧の通過に際して「雪か雨」のどちらになるかというのは、予報として非常に難しいのです。
豪雪になるかどうかは「紙一重」
今回、2020年1月28日に首都圏を通過したのも南岸低気圧です。結果的に、今回は「近すぎた」ことで、都心部には降雪は見られず、首都圏の鉄道ネットワークへの影響は軽微にとどまっています。
ですが、この南岸低気圧が猛威を振るった場合は大変なことになります。近年では2014年2月14日からの「平成26年豪雪」が有名で、例えば中央本線では高尾駅から小淵沢駅の間で多くの列車が立ち往生し、千人を超える乗客が車内に取り残されました。首都圏でも東急東横線の元住吉駅で、積雪の影響で営業運転中の列車が衝突し、乗客19人が負傷する事故が起きています。更に列車の立ち往生によって車中泊を余儀なくされるケースは、高崎線や信越線などでも発生しました。
今回2020年1月の南岸低気圧の場合、JR東日本は前日の1月27日に中央本線方面の「かいじ」「あずさ」「富士回遊」の運休を決定しています。判断の根拠は複数あったと思いますが、2014年の経験が生かされたのも事実だと思います。これは、結果的に正しい判断で、山梨県では相当な降雪がありましたし、上野原駅と四方津駅の間では倒木が発生して長時間不通になりましたから、前日のうちに特急の運休を決定したのは正解でした。
難しいのは、2014年2月のケースと、今回2020年1月のケースが紙一重というだけでなく、その傾向がわかるのは直前になってからという問題です。今回も、低気圧がここまで沿岸に近いルートを通り、従って首都圏では雨になるということは前日までハッキリしなかったのです。ということは、極端な想定をしますと、今回も2014年のように大被害が出る可能性もゼロではなかったということです。
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