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民主党予備選まで2カ月、トランプ弾劾と同時進行の異常事態
予備選と弾劾が同時進行する前代未聞の事態に Brendan Mcdermid-REUTERS
<当初の乱立状態から候補者が絞り込まれ、実現可能な中道政策へと論戦がシフトする可能性も>
ここのところアメリカのテレビニュース報道は「トランプ弾劾」ばかりが話題になっています。弾劾の容疑は「政敵であるバイデン前副大統領の息子を捜査しないと、軍事援助を打ち切る」とウクライナの大統領に圧力をかけた件で、どう考えても異常な行為です。ですが、3分の2の賛成が必要とされる上院では共和党が過半数であり、弾劾が成立する可能性はほとんどありません。
問題は、それでも政府高官や法律学者などが次々に議会で「大統領の行為には驚いた」とか「明らかなに違法だ」と証言すると、そればかりがニュースで大きく取り上げられることです。その結果として、佳境を迎えている民主党の大統領予備選については、テレビでも新聞やネットでも2番目以降の扱いとなっています。
これは、ある程度予想された事態であり、だからこそ議会民主党のリーダーであるナンシー・ペロシ下院議長は弾劾には消極的だったのです。ですが、「ウクライナ問題」の疑惑が余りに異常だったために、党内の突き上げが抑えられなかったということのようです。
その一方で、ここへ来て民主党内の予備選レースはかなり様相が変化して来ました。
オローク、ハリスの脱落
まず、当初は20人以上が乱立していましたが、候補者が絞られてきました。予備選本番がスタートするアイオワ党員集会まで2カ月となるなかで、民主党の全国委員会が「テレビ討論の参加人数」を絞りにかかっていることもありますが、有力視されていた候補の中でも脱落者が出てきているのも事実です。
例えば、2018年の中間選挙においてテキサス州でテッド・クルーズ議員相手に善戦したベト・オローク氏は、一時期は有力候補の1人と言われていましたが、エルパソでの乱射事件以降は銃規制を中心に訴えた結果、保守州での支持率が下がり、撤退に追い込まれています。
また一時期は全国平均で15%近い支持を集め、アイオワ州ではトップを走っていたこともあるカマラ・ハリス上院議員は、その後の支持が低迷する中で、12月に入って撤退を表明しています。本人は「アメリカは、有色人種の女性(彼女はジャマイカ、インド系)を大統領にする用意ができていなかった」などと怒っていますが、実際は選対が左派と穏健派に分裂するなど運動継続が難しくなっていたようです。
そんな中、12月19日(木)に行われる第5回の予備選テレビ討論の参加者が確定しました。党の全国委員会の決定により、今回は6人という狭き門となったのですが、その中にはヘッジファンドで財をなしたトム・ステイヤー候補が入っているとして一部には批判があります。テレビ討論の参加資格である、個人献金人数や世論調査での支持率をカネで手に入れたという批判です。
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