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トランプ時代のアメリカでは、炭酸飲料の香料まで訴訟の標的に
原告が敵視している「人工合成」についていえば、近年のリナロールは、アセチレンなどから生成されることが多く、大量生産がされてきました。では、人工香料とすべきなのかというと、天然由来のリナロールと同じ分子構造であることから、特に両者を区別する必要もないし、人工合成であると表示する必要もないというのが、国際的な慣行になっています。
ABCテレビの報道を受けて、食品安全の専門家である南カリフォルニア大学薬学部のロジャー・クレメンス講師は、「リナロールが危険だという指摘はないので、この飲料だけでなく、安心して摂取してください」と述べていました。その上で「リナロールが問題になるのなら、自然由来のリナロールの入っているオレンジジュースや、ライム果汁もダメということになります」とも指摘していました。
この種の問題ですが、アメリカというのは比較的「安全」と「安心」の乖離の少ない、つまり科学的な結論をストレートに受け入れる社会だと思われてきました。例えば、遺伝子組換えの植物に関しては、日本や欧州においては「自然に対する作為」であり危険性が排除できないという感覚が強いわけですが、アメリカでは「危険度は交配による品種改良時に突然変異が起きるリスクと同じ」だとして、抵抗感は少なかったりします。
しかしながら、今は「トランプ時代」です。声の大きな人間、あえてケンカ腰の姿勢を取って相手を追い詰める人間が勝っていく時代であり、また「真実」というものが2つも3つもあるというのが平気で理解される時代でもあります。ナマの感情論をそのまま社会に持ち込むことも多くなっています。
そんな中で、「最もローカロリーで、安全だと思われていた」ファッショナブルな「スパークリング・ウォーター」に「ゴキブリ殺虫剤」が入っていたという「ストーリー」は勝ってしまうかもしれません。仮にそうなれば、一部の弁護士と、それに煽られた一部の原告以外は、全員が不幸になってしまう危険を感じます。
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