コラム

日本は「トランプ外交」にどう対抗したらいいのか?

2016年05月02日(月)09時30分

 1つは、アメリカとの関係における「対称性」あるいは「相互性」を、他のあらゆる分野で意識することです。

 例えば、仮に今月末の伊勢志摩サミットの際に、オバマ大統領の広島献花が実現したとしたら、間隔を置かずに、安倍首相がハワイの真珠湾を訪問して、戦艦アリゾナ記念館に献花をするのです。

 こうした「対等性・相互性」という外交原則をキチッと果たすということは、何よりも「トランプ的なるもの」に吸い寄せられるような人々の心にも響く行動になるからです。

 もう1つは、日本が「自由と民主主義の価値観を大事にしていれば、頭脳労働を中心とした高付加価値の経済を開花させて最先端の技術と経済を実現できる」という成功事例であり続けることです。そうすれば、カネのことを考えると日本より中国が大事などという外交方針のバカバカしさに、さすがにトランプもその追従者も気づくでしょう。

 どちらの場合でも、トランプ現象に驚いて、日本が右往左往するような見苦しいことはまずやめることです。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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