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米「オバマ訪日」報道は、「寿司抜き」「安倍抜き」「尖閣抜き」
この「寿司抜き」に続いて指摘できるのが「安倍抜き」です。一連の首脳間の行事があったにも関わらず、アメリカでは安倍首相に関する報道もほとんどありませんでした。安倍首相の名前を出すと、靖国参拝やダボス発言などの「タカ派」という紹介をしなくてはならないし、その安倍首相との良好な関係を結んだという報道になってしまっては、オバマのイメージに合わないからだと思います。
安倍首相の名前だけでなく、アメリカの報道では多くの話題がカットされています。例えば、24日にはオバマ大統領は明治神宮を訪問しました。「やぶさめ」見物が主という内容で、ブッシュ大統領の2002年の訪日時と同じ演出でしたが、米国では今回は報道されていません。時節柄、明治神宮が靖国神社と混同されて誤解を受ける危険もあるからと思われます。この話題も、「日本の国内世論向け」のパフォーマンスという理解が必要でしょう。
科学未来館でのロボット見物もそうで、こちらは報道されましたが、それほど好意的な扱いではありませんでした。米国では一部映像が流れましたが「大統領がロボットと遊んでいる」というMSNBCの報道、大統領が「人間の形をしたロボットは少々不気味だね」と発言した(米国の感覚では本当にそうなのです)というワシントン・ポスト(電子版)の記事といった具合です。
そんなわけで、オバマ訪日に関わる演出と、その報道を通じて透けて見えるのは、日米の「同床異夢」ぶりです。特に重要なのは、中国との関係です。
まず、現在のアメリカの世論には中国との「緊張を高める」ことへの支持はほとんどないと言っていいでしょう。例えば日米首脳会談と同じ4月23日にはアップル社の四半期決算がリリースされました。アナリストの予想を打ち破る増収増益を発表していますが、その原因としては中国市場での iPhone 販売の成功が大きいと思います。この発表に関して、CNBCのジム・クレイマーは「チャイナ、チャイナ、チャイナ」の好決算だとコメントしていましたが、そのような受け止め方が大勢です。
またここ数週間の間に、中国の巨大ネット企業である微博(ウェイボー)がアメリカのナスダック市場に上場を成功させていますし、更に中国のIT関連企業のアリババの上場も秒読みです。以前は、中国のIT産業には人権や表現の自由の問題から、アメリカでは批判的な意見もあったのですが、こうなるとIT関連のカネの流れとして、中国とアメリカの経済の絆は相当に太くなっていると言えるでしょう。
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