コラム

消費税アップに対応した「非接触式IC乗車券」、東京五輪ではどうなる?

2014年04月03日(木)16時59分

 例えばですが、近距離と広域、移動体と固定基地といった無線通信の概念が大きく統合されるとか、あるいは利用者には「確実性・利便性」を提供しつつ、セキュリティには関しては堅固な仕様が実現していてプライバシーの問題に関しては高度な配慮がされているとか、ある条件では匿名性を許すとか、ある条件では許さないとか、ソフト・ハード両面において「五輪を発表の場とする」に相応しいものにするのです。

 日本のエレクトロニクス産業は、世界の民生市場から撤退しつつありますが、五輪までの6年間を反転攻勢のチャンスにしてもらいたいと思いますし、こうした無線通信プロトコルの問題は良いテーマだと思うのです。今度こそ、ガラパゴス化することなく、日本発の世界標準を実現して欲しいと思います。

 ちなみに、最新の無線通信プロトコルが完成して、本当に東京五輪を「お披露目」の場にできたとします。その場合に「ソフトも含めて高性能なシステム」ができたのだから「複雑な現行の料金体系での収受もできる」と考えるのは止めた方が良いと思います。乗り継ぐたびに、距離が伸びるたびに複雑に課金されるというのは「良く分かるようなインターフェース」があったとしても、慣れない外国人客には不愉快だからです。

 とにかく公的交通機関に関しては「均一料金・乗り放題」で好感を持ってもらい、通信プロトコルを含む新しい民生用ITを体験してもらってハイテク日本の復活を実感してもらう、それこそが本来の「おもてなし」になるのではないでしょうか?

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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