香川から沖縄、台湾まで――特別に盛り上がる選挙戦の共通点とは?
今回のAIイラスト:20XX年、覆面のドラゴン総統が台湾を救う、の図…?(AI GENERATED ART BY NEWSWEEK JAPAN VIA STABLE DIFFUSION)
<日本各地から来年総統選が行われる台湾まで、芸人・プチ鹿島が選挙現場の「観戦」を続けるのは、ただ楽しいから。でもその裏で意外な発見することもある>
来年1月に行われる台湾総統選挙。私はこれを見に行くことに決めている。政治意識が高いからではなく、選挙が楽しそうだからだ。
経緯を説明すると、私は今年ドキュメンタリー映画『劇場版センキョナンデス』の監督としてデビューした。ラッパーのダースレイダーと共同での監督・主演だ。始まりは2021年10月の衆院選・香川1区での選挙現場を撮影し、2人のトークライブで報告したこと。これが好評だったので昨年の参院選は大阪へ行き、候補者たちに質問をどんどんぶつけた。それらの様子を映画にしたのだ。
気になる選挙現場へ行き、スポーツ観戦や食べ歩きのように楽しむことを「選挙漫遊」と呼ぶ。ライターの畠山理仁さんが提唱したものだ。例えば街頭演説。いろいろな候補のいろいろな考えを目の前で見る。候補者だけでなくスタッフや支持者も熱がある。人間の喜怒哀楽が全て確認できるのが選挙現場で、まるでフェス、つまり「祭り」だ。誰を「代理人」に選ぶかが、私たちの生活に跳ね返ることも実感できる。
選挙漫遊にハマると、畠山さんから「沖縄の選挙を見に行ったほうがいい。『選挙は祭り』を実践しているから」と言われた。だから昨年9月の県知事選に行った。歌や太鼓もあり、その熱気は確かに祭りだった。
選挙に無関心な人が多いと得するのは誰?
その中で忘れられない言葉があった。玉城デニー知事の演説を見に行ったら手製の応援グッズを手にした陽気なお姉さまたちがいた。話を聞いてみると「確かに楽しいですよ。でも楽しくやらないと心が折れてしまうから」と言うのだ。
沖縄県知事選ではSNS上で候補者や沖縄へのデマやヘイトスピーチが問題となった。選挙で米軍基地に関する民意が何回示されても本土には声が届かないとも感じて「心が折れそう、へこたれそう」と。「だからこそ楽しくやっています」と言われた。「楽しい」ことの重さを考えた。そういえば歌うことも心の叫びの表現の1つ。にぎやかさは切実さと表裏一体なのでは?と感じた。沖縄漫遊の模様は『シン・ちむどんどん』として2本目の監督作となった。
一方で、選挙に無関心な人はまだ多い。畠山さんは著書『コロナ時代の選挙漫遊記』(集英社)で、選挙に行く人たちは「選挙に行かないあなた」に対して厳しいことは言わないはずだと言う。なぜ?
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