コラム

今年は「お投資玉」でお金を育てるのはいかが(パックン)?

2023年01月10日(火)17時12分

フィナンシャル・コントロールに必要なのは「リテラシー」と「やる気」だ。フィナンシャル・リテラシーは、予算の立て方、家計簿の付け方、銀行口座の作り方など、初歩的なノーハウから始まるが、結構奥が深い勉強になる。少し進むとこういうテーマも出てくる:

・ライフ・ステージによるお金の価値の変更
・返すべき借金と借りるべき借金の違い
・必要な保険と無駄な保険の見分け方
・投資とギャンブルの違い
・金融商品の種類とそのリスクの図り方
・やりたいことができる長期的なマネープラン などなど......

経済報道番組のレギュラーを持ち、10年以上前から全国各地でお金に関する講演会も行っている僕だが、近年、政府側からのプッシュもあって投資への関心上がっていること、「老後2000万円問題」で定年退職後の資金を自ら確保しようとする人が増えたことは、肌で感じている。

しかし、平均値として、上記のことへの理解も、皆さんのやる気もまだまだ足りないと感じ、去年「お金の育て方」についての本を執筆した。(好調に売れているよ! だから今、世の中で「お金の本を出したアメリカ人お笑い芸人」と言ったらもちろん僕だ......よね?

ということで、今日からスタートしてもいいから、リテラシーとやる気を高めて、お金に振り回されない人生を確立させよう。それを新年の決意にしてもいいのではないだろうか?

毎月が「お投資玉」チャンス!

そして、出発点はお年玉がいい。いただく側であれば、しっかり考えて計画しよう。送る側であれば、子供にこういう話をしよう:お金が手に入ってもすぐ買い物にいくべきじゃない! 今使う分を決める前に、将来のために投資する分、大きな出費や緊急時に備えて貯める分、寄付する分などを考えよう!

消費の誘惑に負けそうなとき、そのお年玉が増えるポテンシャルを考えよう。アメリカ株の平均利益率で長期投資すると、複利によりお金は10年おきに倍増する見込みとなる。10年で2倍、20年で4倍、30年8倍......と、長ければ長いほどすごいことになる。つまり、10歳の子が70歳まで長期投資すれば1万円のお年玉が64万円になる計算だ!僕はこれを「老後計算」と呼んでいるが、自分に言い聞かせても、子供に話してもその効果がみられる。今使おうとするお金の可能性を意識すると、節約・投資する気がむくむくと湧き上がる。

もともとその文化じゃなかったのに、子供とこの話をしたくてハーラン家はお年玉制度を導入している。置き方に少し気を使っているけど。クリスマスプレゼントはツリーの下、お年玉は子供NISA(少額投資非課税制度)口座の中。

お年玉と関係ない人でも、すぐフィナンシャル・コントロールを取り、フィナンシャル・インデペンデンス(経済的な独立)への旅に出発しよう。子供のない大人だったら、それこそこの話を活かせるはず。だって、お年玉は年に一回しかないものだが、収入があれば「お投資玉」は毎月チャンスが来るはず!

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア政府系ファンド責任者、今週訪米へ 米特使と会

ビジネス

欧州株ETFへの資金流入、過去最高 不透明感強まる

ワールド

カナダ製造業PMI、3月は1年3カ月ぶり低水準 貿

ワールド

米、LNG輸出巡る規則撤廃 前政権の「認可後7年以
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story