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世界を引っ張るリーダーが日本で生まれづらい理由
日本の選挙制度は与党に有利過ぎる? Kim Kyung Hoon-REUTERS
<世界を牽引する偉大なリーダーが日本から登場しないのは、空気を読み過ぎる社会のせい? 実は日本では、リーダーシップを誰も期待してないのかも>
「World's Greatest Leaders(世界で最も偉大なリーダーたち)」と題して、フォーチュン誌が世界のリーダートップ50を発表している。昨年は日本人が1人も載っていなかったが、今年はなんと、安倍晋三首相やソフトバンクグループの孫正義会長兼社長、小池百合子都知事が見事に......漏れている。38位にBTグループの社長、吉田春乃さんが入っているが、日本企業の経営者や政治家、文学者などは誰もいない。
なんでなんだろう。原因の一つは間違いなく審査員のバイアス。本当の求心力や影響力よりも、欧米に集中している読者の間の人気度やキャッチーさも絶対に審査条件に入っているだろう。少なくとも孫さんは、46位にランクインしているチャンス・ザ・ラッパーよりリーダーシップを発揮しているはず。チャンスをつかめず、ソンしているね、とか、何かギャグができそうだけど、そんな暇、ない。これは重要な問題だ!
バイアスがあったとしても、選ばれたのは何も欧米のメンバーだけではない。中国からも台湾からもインドからもドイツからも、また去年は「カナダ」という、聞いたこともないよう小国からも首相がランクインしている。でも、世界3位の経済大国である日本からは出ていない。フォーチュン誌は日本での売れ行きがあまりよろしくないのかな?
そういう問題でもないはずだ。審査委員の偏りだけで片付けてはならない。他国に比べて、日本から世界を変えるようなリーダーがあまり誕生していないのは事実。その実態をちゃんと見つめて、原因と対策を検証しないと。みんなの見解も知りたいが、とりあえず僕の分析を述べさせてもらおう。僕の連載だからね。
「出る杭は打たれる」社会
まず、社会的な要因が大きいはず。リーダーになるには、人前に立つ勇気と図々しさが必要だ。「遠慮のかたまり」や「出る杭は打たれる」または「空気を読む」などの慣用表現からもうかがえるように、日本はやりたいことがあっても、前に出ず、我慢して和を乱さないように気を遣うのが美徳。
でも、リーダーは遠慮でかたまらない。 打たれても前に出て、空気を読みながらでもその空気を変えていくような存在だ。日本の社会や教育の下では生まれづらいかもしれない(ちなみに、遠慮のかたまりはアメリカの食卓であまりみない現象。最後にピザのひとかけらが残ったりしない。最初に遠慮のかけらもないから)。
日本は一般の人だけでなく、著名人もいろいろ控えめにする社会だ。フォーチュン誌のランキングに入っている世界のリーダーは全員が権力者ではない。政治家やビジネスパーソンのほかに、スポーツ選手、芸能人、活動家、文学者なども入っている。共通点としては各分野で活躍しながらも、リスクを負って世間に意見を発信し、自らが手本になるような行動を見せている。日本では著名人が政治の話をしたり、社会問題に取り組んだりすると本業に悪影響が及ぶことが多い。正直、僕も当然それを意識し、カナダぐらいしかいじらないようにしている。
でも、政治家ならもちろん政治的な発言は自由にできるはず。なのに、日本から世界レベルの政治家もなかなか出てこない。その原因は政界の特徴にあると考える。以前にも取り上げたが、 日本の選挙や政治は少し特殊だ。あまり意識されないけど、その制度から意外な産物が出ていると思う。
まず、選挙期間が短いため、知名度のある政党や現役議員にとっては有利。政権交代の伝統がほとんどないため、野党の存在が薄い。さらに、与党内の言論統制ができているため議論の幅が狭い。その結果、国民の選択が限られているだけではなく、幅広い思想の政治家の丁々発止でリーダーシップが鍛えられるような状況になっていないと感じる。激しい議論で切磋琢磨するからこそ、一流のリーダーが抜きん出てくるが、この状況では生まれづらいかもしれない。
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