東芝 車谷社長の何が悪いのか?
以前在籍したCVCから4月7日に買収提案があり、14日に辞任した車谷社長 REUTERS/Issei Kato
<「物言う株主」との確執だとか、以前在籍したCVCから買収提案があったというのは、問題ではない。では車谷暢昭社長はなぜ辞任したのか>
不明だ。
以前在籍したCVCから買収提案があったとのことだが、これ自体は不正でもなんでもない。これを自己利害のために優遇し、東芝の企業価値を毀損することがあれば、もちろん大問題だが、むしろ高値で買収してくれるというのは、一つの選択肢であり、この時点では何も悪くない。
「物言う株主」がどうのこうのと、何もわからない日本のメディアは言うが、株主が意見を言うのは当然で普通であり、どういうモノを言うかが問題だ。
今回話題になっているエフィッシモとはアクティビストファンドであり、アクティビストファンドには賛否両論あるし、アクティビストの中にもいいのと悪いのとがいるし、それも立場や見方により評価は異なるであろうが、世界の投資業界の常識として、アクティビストファンドとは、自己のファンドのパフォーマンスのためには何でもやる人々であり、社会のためはもちろん、企業のためや当該企業の株主全般のためにもなるかどうかは、ケースバイケースである。
今回のエフィッシモの東芝への戦いは、現時点では、イチャモンに過ぎない。これは日本の信託銀行業務あるいはそのほか業界のミスであるが、議決権のカウントミスがあったということで、それがあまりにずさんだった、ということだ。
これは東芝に限らず、この1年多くの企業で問題になっており、東芝などの企業側の問題というより、信託銀行や議決権行使に関わるサービス業務を行う業界のその一部の問題である。
議決権問題は関係ない
だから、そのミスがあったところで、それを理由に、臨時株主総会を開いたり、特別調査を行うのは、費用対効果からいってあまりにも行き過ぎであり、企業価値を損なう、コスト増加に過ぎない。
エフィッシモ以外の投資家で賛成した人々が多かった理由は、彼ら海外投資家には、日本の証券市場全体への不信感がもともとあるのと、何かイベントがあれば、株価が上昇するきっかけになりうる、ということで囃している、ということである。
したがって、この件については、賛否はあるかもしれないが、こういうことがあったから、車谷氏が陰謀的に議決権をきちんと扱わず、自己防衛をしたと推測するのは行き過ぎである。
問題は、車谷氏の経営のどこが悪いのか、であり、そこを議論すべきである。
いまのところ報道されているところによると、東芝社内からの不満としては、リストラやコストカットが厳しすぎる、というものであり、社外の投資家、アクティビストたちからの不満は、短期的な株価の上昇よりも、長期的な経営にシフトしており、それに反対だ、ということだ。要は、自分たちの都合を聞いてくれない、ということである。
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