点字ブロックのアンパンマン、被災者侮辱、カラス生食......炎上を繰り返すツイッターの終焉は意外に近いかもしれない
ツイッターは社会を変えたーー悪い意味でも Dado Ruvic/Illustration-REUTERS
<筆者も最近巻き込まれたが、炎上を繰り返すツイッターの本質はゲームである。敵キャラを倒し、パズルブロックを消すのと同じ感覚でツイートに反応する。そこに建設的な会話は成立しない。魑魅魍魎が跋扈する現在のツイッターはどう考えても異常だ>
アメリカのIT大手メタ(旧フェイスブック)が、ツイッターとよく似たタイプのSNSを開発中だという。イーロン・マスク氏による買収以降、ツイッター社は混乱が続いているため、劣勢に乗じてメタが攻勢を仕掛けようとしているのかもしれない。
私はこれを非常に歓迎している。というのも、日本のネット世論を席巻しているツイッターには、もう何年も前から社会に対する有害性を感じていたからだ。ツイッターは便利で面白いけれど、何かが根本的におかしい。そう思っている人は、決して少なく無いのではないか。私は最近、軽い炎上なども経験して、ようやくツイッターの本質が分かってきた。
キーワードは「ゲーム」だ。より正確に言えば、「スマホゲーム」である。
混雑した電車に乗る時、他人のスマホ画面が目に入る。すると、スマホゲームに興じている人が思いのほか多いことに気づく。『ファミ通ゲーム白書2022』によると、21年の日本のゲーム人口は5535万人で、ゲームアプリの市場規模は1兆3001億円という。
パズドラ、ツムツム、ウマ娘、FGO(Fate/Grand Order)......。私は何となく名前を知っている程度なのだが、電車内ではそうしたゲームの画面を熱心にいじっている人々をよく見る。で、彼らはそのままサッと画面を切り替え、ツイッターを閲覧したりもする。
つまり、ある種の人々にとってツイッターは、スマホゲームとシームレスに繋がっているのだ。このことに気づくと、ツイッター空間の特性が色々と理解できるようになる。
「快・不快」で判断される世界
彼らはまず、ツイッターを開くと獲物を探す。優越感に浸りながら思う存分けなすことができるターゲットを物色するのだ。滝川ガレソあたりのアカウントが、その点では極めて良い仕事をしており、細大漏らさず実にスピーディーに、ネット空間の「バカ」を安定的に供給してくれる。
ゲームの世界では敵と味方が明確に分かれており、敵は叩き潰す対象でしかない。ネット世論がしばしば粗雑で単純な二分法に支配されるのは、彼らがゲームの延長でツイッターを見ているからだ。
敵キャラを戦車でなぎ倒したり、パズルブロックを消したりするのと同じような感覚で、彼らはツイートに反応する。だから、あらゆる言葉が過激になり、言葉のひだや言い淀みといったものが消えてしまう。物事の当否は論理的整合性や社会的妥当性ではなく、「快・不快」によって感覚的に判断される。ゆえに、「この考えは間違っている。なぜなら私が不快だから」という思考回路が平然と成り立ってしまうのだ。
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