最新記事
シリーズ日本再発見

外国人客とのコミュニケーションに困っても、このサービスがあれば大丈夫

2016年08月26日(金)15時32分
高野智宏

「みえる通訳」がモバイル端末を活用した他社の同様の通訳サービスと一線を画すのは、「『さわって通訳』との連動だ」と、小野氏は語る。これは「みえる通訳」を契約すれば無料で使用できるサービスで、ドラッグストアや土産店といった小売用をはじめ、飲食、宿泊、観光、交通、医療、公共と7つの業種における接客の定型文を表示し、各文をタッチすると音声が読み上げられる。こちらも先の5カ国語に対応している。

「昨年6月に『みえる通訳』の追加機能としてリリースした。これですべての会話が完結できるわけではないが、約4割ほど『みえる通訳』の利用割合が減少したというお客様もあり、好評をいただいている。また、オプションにより契約者様独自の『さわって通訳』にカスタマイズすることも可能であり、すでに導入いただいている企業・団体もある」(小野氏)

 リリースより約2年を経過した「みえる通訳」。小野氏は「本年度には10億円の売り上げを目指す」と意気込む。加えて、今後は「さわって通訳」に災害時における緊急用シートの制作を検討中であり、「適切な情報を提供することで、緊急時における訪日外国人客の不安を解消したい」という。

「タブレットの画面は視認性において有効」

 一方、今年7月に満を持して映像通訳サービス市場に参入したのが、光学機器メーカー大手のリコーだ。同社のサービス「多言語通訳サービス」も、ITX同様に自社製品であるテレビ会議システムを利用したもので、こちらはOSをiOSに、対応するモバイル端末も各種のiPadに限定している。その理由をVC商品グループの清水香織氏は「利便性を第一に考えた」と語る。

「例えば、聴覚障害の方とメモなどでやり取りする際もダブレットの方が画面が大きく見やすい。また、ひとくちに中国語といっても公用語の北京語のほか、広東語や福建語などがあり発音が異なる。しかし、発音だけでは聞き取れない言葉も、口元を見れば意味が通じるという。そうした場合も、スマートフォンよりもタブレットの大きな画面が視認性において有効であると考えた」

【参考記事】日本の映画館で『ワンピース』を英語・中国語字幕付きで上映する理由

「多言語通訳サービス」では、定額制と従量制の料金メニューを用意している。いずれも初期費用の登録手数料として3万円が必要となるが、定額制はバックアップ用の電話通訳サービス(ネットワークトラブル等で接続できない時に電話で通訳を受けられる)を含む月額5万円プランと、通常の月額4万円プランを。従量制には、40分間の無料通話を含む月額基本料金1万5000円のプランのほか、15分間の無料通話を含む同5000円のプランがあり、それぞれ無料通話を超過した際は超過料金が発生する。なお、後発のビハインドを払拭すべく契約初月は無料のキャンペーンを展開しているという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米バークシャー、24年は3年連続最高益 日本の商社

ワールド

トランプ氏、中国による戦略分野への投資を制限 CF

ワールド

ウクライナ資源譲渡、合意近い 援助分回収する=トラ

ビジネス

ECB預金金利、夏までに2%へ引き下げも=仏中銀総
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 2
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映像...嬉しそうな姿に感動する人が続出
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 7
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    見逃さないで...犬があなたを愛している「11のサイン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 7
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 8
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中