日本に観光に来た外国人がどこで何をしているか、ビッグデータが明かします
企業が活用できる「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」のサービスは、もう1種類ある。訪日外国人ユーザーがWi-Fi環境をアップグレードできる"プレミアムコード"の配布だ。これは訪日外国人ユーザーにとっても反響が大きいという。
実は、ワイヤ・アンド・ワイヤレスは全国に20万のアクセスポイントを整備しているが、「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」のアプリをダウンロードした時点では6万スポットしか利用できない。そこで、すべてのアクセスポイントを利用できるプレミアムコードを企業に購入してもらう。例えば、小売企業が外国人に自分の店に来てもらいたいとき、店の近くにいる訪日外国人ユーザーに向けて「来店の方にプレミアムコードを進呈」といったメッセージを盛り込んでプッシュ配信。これにより、より快適なWi-Fi環境を求める外国人が来店してくれるというわけだ。
「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」は2014年12月にスタートしているが、アプリは累計150万以上(2016年3月末時点)ダウンロードされ、訪日外国人が最も多く利用しているWi-Fiサービスとなっているという。
中小企業や個人商店が利用できるサービスも
「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」が自治体や大企業向けであるのに対して、ワイヤ・アンド・ワイヤレスが2015年12月にリリースした「インバウンドサテライト」は、中小企業向けともいえるサービスだ。
メニューは2つあり、1つ目の「インバウンドレーダー」は、地図上で自分の店がある場所と、それに関連する3つの場所(最寄駅や近くのランドマークなど)を設定できる。それらの場所を訪れた訪日外国人(「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」のユーザー)がどれくらいいたかを、国籍や曜日、時間帯別でも表示してくれる。
「例えば、台湾の人が多ければ店には繁体字の案内を掲示するとか、最寄駅には多数の外国人が訪れているのに自分の店の周辺にはまったく訪れていなかった場合、誘導する方法を考えるとか、インバウンド対策に利用していただいています」と、南さんが活用法を教えてくれた。
もう1つの「インバウンドキャッチャー」は今年6月から追加した新機能で、訪日外国人を呼び込むための情報発信機能とのこと。例えば、自分の店が代官山にあり、近くの恵比寿駅周辺を訪れる多数の訪日外国人を呼び込みたいときに、店舗情報やクーポンなどのコンテンツを配信できる。「インバウンドレーダー」も「インバウンドキャッチャー」も、「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」の機能を簡略化したもので、利用金額をリーズナブルに設定しているため、個人商店でも無理なく利用できる点が特長となっている。
こうしたサービスが活況を呈し、ビッグデータにより、訪日外国人の動向は解明されつつある。しかし、インバウンドビジネスでの収益を高めるには、これらをどう使いこなし、どう効果的な施策を打っていくかという次なるステップが重要だ。それができてこそ、日本のおもてなしも発揮されるのではないだろうか。