世界に混乱をもたらす「トランプ関税」をロシアが免れたワケ
ロシアとの関係改善を優先
一方、やはり制裁の対象にされていても、北朝鮮やキューバに対してはロシアと同様、関税引き上げの対象から外された。ただし、アメリカと北朝鮮、キューバの取引はほとんど確認されない。
とすると、トランプ政権がロシアとの関係改善を優先させて関税引き上げから除外したとみてほぼ間違いないだろう。
ロシアのシンクタンク、米国カナダ研究所のアレクサンドラ・フィリッペンコはドイツメディアの取材に対して、「ロシア政府は(トランプの)政治的メッセージを確かに受け取っている」と指摘した。
その一つの論拠は、トランプ関税が発表された翌4月3日、ワシントンを訪問していたロシアのキリル・ドミトリエフ特使が対米関係の改善を匂わせる発言をしたことだ。
たとえばドミトリエフはCNNのインタビューに「ロシアとアメリカの間の対話はバイデン政権のもとでは全く進まなかった」、「我々は最終合意に向けて、どのように動くかをお互いに理解していると思う」と述べたうえで、制裁の早期解除を望むとも付け加えた。
ロシアは先月、トランプ政権によるウクライナ停戦案を事実上拒否したうえ、雪解けの時期を迎えてウクライナ東部などで攻勢を強めている。
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