世界に混乱をもたらす「トランプ関税」をロシアが免れたワケ
足元をみられるトランプ
トランプは大統領選の最中から、バイデン前政権による巨額のウクライナ支援を批判して、戦争を自分なら「1日で終わらせられる」と豪語してきた。
しかし、頭ごしのロシアとの協議がウクライナからの反感を招いただけでなく、当のロシアからも「戦争の根本的原因の解決にならない」と拒否された。
ロシアはウクライナにクリミア半島の編入を認めること、周辺一帯から部隊を引き上げること、NATO加盟を2度と申請しないことなどを求めていて、トランプ政権の停戦案がこれらを満たしていないというのだ。
それでも大統領選で大見得を切った手前、トランプはロシアを交渉に向かわせざるを得ないが、ロシアに圧力を加える手段は実はほとんどない。
アメリカはすでに数多くの制裁をしており、これ以上の余地は乏しい。ロシアのGDP成長率は昨年4.1%を記録するなど、制裁のダメージが当初の想定より小さいからなおさらだ。
そのうえ「交渉しないならウクライナ支援を増やすぞ」という脅しも効きにくい。ウクライナを置いてけぼりにした交渉を進めた結果、トランプとゼレンスキーの関係は極度に悪化しているからだ。
こうしたなかトランプ政権はウクライナ製品に対する関税も10%引き上げた一方、ロシアは関税引き上げを免れた。言い換えるとトランプはプーチンに足元を見られたといえる。
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