岸田政権は「海外に資金をばらまいている」のか?
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G7サミットで原爆死没者慰霊碑を訪れる岸田首相(右)とウクライナのゼレンスキー大統領(5月21日、広島) Eugene Hoshiko/Pool via REUTERS
<物価上昇が国民生活を圧迫するなど国内に諸問題を抱える今、外国を支援する余裕があるのかという批判があるが、このタイミングで途上国・新興国にODAを増やすことにはそれなりの必然性がある>
・SNSなどでは岸田政権への批判の一環として「海外で資金をばらまいている」といわれる。
・データを確認すると、実際に2021年頃から海外向け援助が急増している。
・贈与額は2022年に2000億円だったが、今年はそれをさらに上回ると見込まれる。
海外への資金提供は実際に増えている
このところSNSなどでは、岸田政権が「海外で資金をばらまいている」という批判が目立つ。
物価上昇、「異次元の少子化対策」に代表される疑問の余地の大きい政策、首相の家族を含む政府関係者の不祥事などへの不満が、これに拍車をかけているかもしれない。
しかし、これらの問題を一旦おいたとして、実際に海外に提供される資金は増えているのだろうか。
結論的にいえば、増えている。しかも、今後も増え続ける可能性が大きい。
下のグラフは2019年から今年7月までに日本外務省が正式に合意・調印したODA(政府開発援助)の拠出額を示している。
海外向けの資金にはいくつものバリエーションがあるが、ここではその柱である外務省のODAに絞る。さらに、貸すタイプの「貸与」を除外し、あげるタイプの「贈与」に限っている。
この間、近似曲線の動きからも分かるように、ODA贈与額は増加傾向を示している。
特に2023年3月にとび抜けて高い数値を記録しているが、合計1135億円のうち530億円はウクライナ向けだった。
ウクライナ以外にも、2022年度に食糧価格高騰などによってODA要請が増加したことと、公的機関特有の年度末の予算消化が結びついた結果が、この急増だったといえる。
しかし、これでは動向がやや分かりにくいので、年単位で表してみよう。それがこれだ。
「地球儀外交」や「積極的平和主義」を掲げた安倍政権と比べても、岸田政権にはODAの増加をうかがえる。日本のODAは貸与が中心だが、それでも贈与の増加によってその比率が徐々に高くなっていることもわかる。
2023年のデータは7月いっぱいまでのものだが、このペースでいけば年末までに昨年を上回ることはほぼ確実だ。
なぜODAを増やすのか
物価上昇で国民生活が圧迫されているだけでなく、国民の5人に1人が後期高齢者になる「2025年問題」を目前にしたこの時期に、外国を支援する余裕があるのか、ばらまきすぎではないか、といった批判があることは理解できなくない。
ただし、あえていえば、ODA増額にはそれなりの必然性がある。
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