コラム

二つのナショナリズムがぶつかるスコットランド──分離独立問題の再燃

2019年12月23日(月)17時49分

1999年にスコットランド議会が創設されて以来、この第30条が適用された事例は16回にのぼり、そのなかには鉄道の敷設や投票年齢の引き下げなどが含まれる。

スタージョン第一首相はスコットランド議会が住民投票を行うことを、この第30条の適用で実現しようとしているのだ。

現在までのところ、ジョンソン首相は2度目の住民投票に反対する姿勢だが、第30条の要求に公式の反応はみせていない。イギリス政府は「住民投票は一回限り」という前提だったため、無理はない。

しかし、仮にイギリス政府がこれを黙殺しようとするなら、スタージョン第一首相は裁判などを通じて争うことも想定される。

その場合、イギリス政府はEU離脱という重要案件と並行して、このタスクを処理しなければならない。それは連合王国を解体させかねないエネルギーを秘めている。EU離脱にやっと目処がついたイギリスには、再び大きな嵐がやってこようとしているのである。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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