「増税原理主義者を打破する機会」トランプ関税は日本の国難、だが災い転じて福となすかもしれない
拡張的な財政政策の発動が、米国からの輸入を増やす手段に
この国難に、日本政府ができることは何か。赤沢亮正経済再生担当大臣とスコット・ベッセント財務長官との交渉を通じて、日本への関税賦課を低下させられるだろうか。
米国からの日本への要求である、農産物などの関税引き下げ、日本独自の規制見直しなどは日本経済自身にとって望ましい対応である。これらの既得権益が、外圧によって縮小できるのだから、国難をうまく利用すればいいだろう。
一方、交渉相手の米国側の事情があるのだから、日本側の意向が多くは通らないと考えた方がいいだろう。
ただ、トランプ政権が貿易赤字を問題にしているのだから、それを是正するために日本ができることは対米輸入を増やすことである。軍用機などの購入はさらに増えるだろうが、輸入を大きく増やすには、金融財政政策をしっかり発動して経済成長を高めることにコミットすればよい。
具体的には何か。まずは、追加利上げに「前のめり」な日本銀行に対してけん制することだろう。
そして、国民民主党など野党が減税政策を提示しているが、大規模な減税政策を軸にした拡張的な財政政策の発動が、米国からの輸入を増やす手段になる。自民党の政治家らは一人当たり5万円などの現金給付を検討している模様だが、一時的な現金給付よりも、恒久的な減税が経済成長を刺激するのは明らかである。
ドイツに訪れる「アベノミクスと同様」の大変化、日本が抜け出せない「緊縮病の宿痾」 2025.03.19
強まる警戒感、アメリカ経済「急失速」の正しい読み方──際立つ欧州株と日本株の格差 2025.03.05
トランプ政権の外圧で「欧州経済は回復」、日本経済の停滞は続く 2025.02.19
トランプ政権の関税引き上げが日本株の脅威になる理由(ただし、間接的に) 2025.02.06
中国経済の失速・デフレ化が世界金融市場の「無視できないリスク」になる 2025.01.08
【2025年経済展望】期待しづらい中国、外部環境に脆弱な日本、2%成長が続く米国 2024.12.27