【2025年経済展望】期待しづらい中国、外部環境に脆弱な日本、2%成長が続く米国
こうした中で、ショルツ内閣が政権を維持できずに2025年2月の解散総選挙となる見通しだが、厳格な債務拡大ルールの見直しを含めた財政政策が争点になるとみられる。可能性は高くないが、総選挙によってドイツの財政政策が変わるとすれば、ドイツの経済成長率は1%を超えるかもしれない。
日本銀行は冷静な判断で追加利上げの時期の見極めを
日本についてはどうか。中国への輸出割合が高く、また日本企業の中国ビジネスへの依存度はドイツよりも大きい。
このため、中国当局の不十分な対応が続いて停滞が続けば、日本経済へのマイナスの影響は大きくなる。外部環境がドイツよりも厳しくなるのだから、適切な財政金融政策を続けることが経済回復にとって必要になるだろう。
日本銀行は、2024年12月の金融政策決定会合において現状維持を決めた。日本経済は2024年にほぼゼロ成長に減速しており、需給ギャップがマイナスの状況での追加利上げは引き締め過ぎの失政となりかねない。日本銀行による政策金利据え置きは適切な判断だったと言える。
植田和男総裁らは、「オントラック」「実質金利が低すぎる」などの理由で2024年の秋口以降も追加利上げを模索してきたが、想定よりもインフレが上振れるまで追加利上げを見送るべきだろう。潜在成長率を超えて経済成長が続くことを待って、追加利上げを行う冷静な判断を続ければ、日銀は2%インフレの安定に成功する。
ただ、「もうワンノッチ(1段階)欲しい」などの植田総裁の発言を踏まえると、2025年1月会合にでも追加利上げが行われる可能性があり、筆者は2024年夏と同様の政策ミスを警戒している。
トランプ政権の外圧で「欧州経済は回復」、日本経済の停滞は続く 2025.02.19
トランプ政権の関税引き上げが日本株の脅威になる理由(ただし、間接的に) 2025.02.06
中国経済の失速・デフレ化が世界金融市場の「無視できないリスク」になる 2025.01.08
【2025年経済展望】期待しづらい中国、外部環境に脆弱な日本、2%成長が続く米国 2024.12.27
日本から学ばず、デフレ・経済停滞から抜け出せなそうな中国 2024.12.12
日本はトランプ政権に「身構える」よりも「見習う」べき 2024.11.28
トランプ再登板・関税引き上げで米経済はどうなるか...「日本経済には追い風」と言える理由 2024.11.12