カジノ誘致を阻止した保守の重鎮と主権在民 映画『ハマのドン』に見るこの国の行方
......と書きながらも本音としては、男性よりも女性のほうが生きものとして優れていると実感している。政治やジャーナリズムなど志や理念が大切なジャンルでは、女性が過半数を占めるべきだ。なぜこの国はこれほど劣化したのか。その一つの答えは、男性優位な社会からいつまでも変われないからだ。
藤木は主権在民を訴える。それはデモクラシーの根幹。大嫌いな言葉をあえて使うが一丁目一番地。でもそれが過激で斬新に聞こえてしまうこの時代の空気は何だろう。
統一地方選の投票率は低下の一途。カジノを推進する大阪維新の会は大躍進。だからこそ本作を見ながら思う。改めて考える。この国はどこへ向かうのだろう。
『ハマのドン』(公開中)
©テレビ朝日
監督/松原文枝
出演/藤木幸夫
<本誌2023年5月16日号掲載>
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