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日本企業に蔓延し始めた「リファラル・ハラスメント」
紹介した人が一定数になれば、一向に紹介しようとしない人に対する周囲の視線はどうなるだろうか。やがて、あの人は紹介しようともしない、あの人は会社のことを考えていない、自分さえよければいい人なのだ、と陰口を叩かれ、冷たい視線が注がれる。そしてやがて、会社の造反者のように扱われ、陰湿なイジメの対象にさえなっていくのだ。
なぜ、紹介しないのか。答えはシンプルなケースが多い。
本当に知人や友人がいない場合か、本人が自社を紹介したいと思えていない場合かのどちらかだ。問題が起こりやすいのは後者。つまり、自社を、紹介する価値がある良い会社だとは思えていないのだ。そんな人にとっては、リファラル採用は愛社精神の踏み絵に近い。
集団には、異分子を排除しようとする特性がある
集団心理学の観点でいうと、集団というのは異分子的存在を排除することで、共通の価値観をつくり上げる。社会集団の中で、集団の一員でありながら馴染めずにいる者を仲間と認めず、排除しようとする傾向が生まれるのだ。
集団は自分たちが考える正義を守らせたい。そして、正義の名の下に、守らない個人に対して見せしめのように排除しようとする。
だから、会社に愛着がある人にとっては当然の正義として、リファラル採用の紹介を強要する。紹介しない人が許せず、異分子として排除したくなるのだ。正義だと信じているので、罪悪感もなく排除のための攻撃をしてしまう。
「異分子」として攻撃を受ける。つまり組織的なハラスメントが起こるということである。同じ部署なのに妙によそよそしくなる、会話がなくなる、上司や周囲から無視される。このような職場イジメに発展していくことすらある。
このような現象を、筆者は新しいハラスメントとして、「リファラル・ハラスメント」と名付けてみた。愛社精神の違いによるハラスメントでもあるので、「ロイヤリティ(Loyalty)・ハラスメント」と言ってもよいかもしれない。
採用のために取り入れた制度なのに、既存の社員が居づらくなって辞めてしまうようなら、本末転倒で何とももったいない話だ。
リファラル採用は、社員を取るか取られるかの諸刃の剣である
会社を愛しきれない理由は、人それぞれ、いろいろな理由があるだろう。仕事にやり甲斐を感じられない、処遇に不満がある、経営者の考えに共感できない、この会社のサービスや製品が社会のためになっている気がしないなど、心の中に何らかの引っ掛かりがあれば、友人や知人を紹介などできるわけがない。
実は、リファラル採用で成功するために、一番大事なのが、この部分なのだ。
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