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今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演
本国と同じアリーナ規模の公演を実現したIU
IUは2008年のデビュー以来、ずっとK-POPシーンの最前線に立ち続けたトップスター。俳優としても次々とヒット作に出演し、こちらでも輝かしい経歴を誇る。当然のごとく自身のコンサートもキャリアにふさわしい豪華なステージが作られ、バックのバンドもダンサーも一流の人材をそろえ、かなり手の込んだ演出を施す。コストも相当かかるに違いない。このような公演はアーティストの出身地だけで、海外では縮小バージョンで行われがちだ。しかし今年3月に行われた横浜アリーナの単独公演は本国とほぼ同じ内容で進行し、2日間で推定2、3万人の観客を集めるほどの成功を収めた。
私も同公演に足を運んだが、他のK-POPアーティスト以上に韓国から来たと思われるファンの比率が高かったように思う。かつては日本では5000人規模の会場が最高だったIUが、より大きな会場で開催したコンサートで満足できる結果を残せたのは、人気度・知名度の上昇とともに、インバウンドの後押しがあったからだろう。
海外ファン前提で来日公演を行うアーティストも
こうした傾向を前提に日本公演を行うケースもちらほら出てきた。ベルギー、ブラジル、インド、アメリカと、韓国出身のメンバーがひとりも在籍していないことで知られるK-POPガールズグループ・BLACKSWANが、6月1日に東京・Veats Shibuyaでファンミーティングを開くが、チケットの公式販売サイトは国内用に加え、会員登録なしで購入できるグローバル用も設けられている。彼女たちのように日本で表立った実績がないアーティストでも海外ファンを呼ぶことで来日イベントを成立させるケースは、今後さらに増えていくに違いない。
インバウンドを意識した来日公演は、K-POPアーティストに限らない。中華圏で活躍するアジアのスーパースター、ジェイ・チョウ(周杰倫)は、4月に単独公演をKアリーナ横浜で開催したが、2万人規模の会場を2日連続で満杯にできたのは、やはり華僑や中華圏に住む人たちのサポートだった。最寄りの駅から会場へ向かう人たちの会話はすべて中国語と言っていいほど。日本人客はほとんどいなかったのではないだろうか。
以上のような状況は、本場と同じ演出が味わえる、現地に行かないと見られないタイプのアーティストが来てくれる、チケットの価格を抑えられるケースも少なくないなど、日本の人にとってもメリットが多い。K-POPに代表される海外アーティストの日本公演は、円安でも良いことがあると思わせてくれる数少ないものなのだ。
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