経済産業省のお節介がキャッシュレス化の足を引っ張る

ウィーチャットペイとアリペイのQRコード支払いを受け付けます、というサイン(今年5月、シンガポール) Edgar Su-REUTERS
<このままでは日本はおサイフケータイとともに「キャッシュレス文明」に乗り遅れると、日本政府も本気でQRコード決済の普及に取り組みはじめた。QRコードはローコストで中小商店でも導入しやすい。ただ1つ、日本の行政が余計なことをしなければ>
日本政府がキャッシュレス化に前のめりで取り組んでいる。
経済産業省が今年4月に発表した『キャッシュレス・ビジョン』では、日本が電子マネーの開発と導入では世界の先頭を走っていたはずなのに、いつのまにか発展途上国にも先を越され、このままでは世界の「キャッシュレス文明」に乗り遅れてしまう、との焦りが表明されている。
このビジョンによれば、2015年時点での各国におけるキャッシュレス決済の比率を比べると、韓国が89%、中国が60%、アメリカが45%、インドが38%なのに対し、日本はわずか18%にとどまっているという。経済産業省は2025年にはこの比率を40%に、将来的には「世界最高水準の80%を目指していく」としている。
そのための方策として産官学を結集した「キャッシュレス推進協議会」を設けてオールジャパンでキャッシュレス化を促進していくのだという。さらにキャッシュレス化の基盤を作る事業者には補助金を提供し、キャッシュレス決済を導入する中小企業には減税をする、とまで言っている(『日本経済新聞』2018年8月21日)。これを受けて、総務省はどこかの県を選んでQRコードを使ったモバイル決済の実証実験をするという。
ハイスペックのおサイフケータイに固執し過ぎた
〇年までに〇%達成、という数値目標を掲げ、税制や補助金を動員し、特定地域で実験するなんてまるで中国のようだが、これまでのように市場に任せているだけではキャッシュレス化の低迷を脱することができない、という日本政府の危機感が現れている。
日本が電子マネーの導入で世界に先行しながら、キャッシュレス化がなかなか進まない理由については以前このコラムで論じたが、その一つは、日本の産業界が、電子マネーの媒体としてFeliCaなどの非接触型ICカード、およびそれを携帯電話に搭載した「おサイフケータイ」という技術に固執しすぎたことである。
日本ではつい最近まで微弱な電波を送受信するICカードやICタグこそキャッシュレス社会を実現する鍵となる技術だと信じられていた。経済産業省だって、つい今年2月にもICタグを利用した無人コンビニの実証実験を世耕大臣自らがアピールしたばかりだ。だが、ICカードもICタグも結局コストが高いという弱点をいつまでも克服できないため、駅の改札とコンビニまでは普及したが、そこから先への普及がなかなか進まない。
その点、中国で広まった電子決済の仕組み、すなわちQRコードをスマホに表示したり、スマホで相手のQRコードを読み取る方法は、もともと人々がスマホを持っていることを前提とすれば追加的コストは非常に低い。
【徹底解説】DeepSeek革命のすべて 2025.02.15
EVと太陽電池に「過剰生産能力」はあるのか? 2024.05.29
情報機関が異例の口出し、閉塞感つのる中国経済 2024.02.13
スタバを迎え撃つ中華系カフェチェーンの挑戦 2024.01.30
出稼ぎ労働者に寄り添う深圳と重慶、冷酷な北京 2023.12.07
新参の都市住民が暮らす中国「城中村」というスラム 2023.11.06
不動産バブル崩壊で中国経済は「日本化」するか 2023.10.26
-
「東京」外資系投資銀行のオフィス受付/未経験OK!想定年収322万円〜/土日祝休
グローブシップ・ソデクソ・コーポレートサービス株式会社
- 東京都
- 月給23万円~30万円
- 正社員
-
「年350万〜476万」年休120日/土日祝休み/外資系金融企業の本社受付
グローブシップ・ソデクソ・コーポレートサービス株式会社
- 東京都
- 月給25万円~34万円
- 正社員
-
外資企業の受付/英語活かせる・年休120日/六本木
グローブシップ・ソデクソ・コーポレートサービス株式会社
- 東京都
- 月給28万6,000円~35万8,000円
- 正社員
-
外資系企業の総務アシスタント/未経験歓迎/土日祝休み
グローブシップ・ソデクソ・コーポレートサービス株式会社
- 東京都
- 月給20万円~23万5,000円
- 正社員