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アマゾンvs.アリババ、戦略比較で分かるアリババの凄さ
物流はアマゾンが最も強みにしているところだ。自社で独自に物流ネットワークや倉庫も構築し、出展者の商品の保管から発送までを担うFBA(フルフィルメント by Amazon)として事業展開を行なっている。しかしアリババもまた、これまでに5兆円をかけて24時間配達可能なスマート物流ネットワークを急速に拡大してきた。5年以内には「中国の国内はどこでも24時間以内、世界どこでも72時間以内に配達できる」物流ネットワークを実現すると、会長であるジャック・マーは豪語している。
金流(金融)では、アリババがアマゾンを完全に凌駕している。アマゾンも決済サービスであるアマゾン・ペイや小規模事業者向けに運転資金を融資する「Amazonレンディング」を行なっているとはいえ、アリババのほうは最早「フィンテックの王者」。ECサイト事業や物流事業との三位一体で金融事業を伸ばしてきており、スマホ決済サービス「アリペイ」は世界最大級の決済サービスに育っている。
そのほかの金融サービスを見ても銀行を超えるものであり、すべての金融商品を含めた実質的な資金量もメガバンク並みだ。2017年9月15日のウォール・ストリート・ジャーナルの記事によれば、アリババグループのマネー・マーケット・ファンド(MMF)である余額宝(投資商品)の預かり資産が、わずか4年で世界最大に膨れ上がり、2110億ドル(約23兆3000億円)にまで増加した(2位のJPモルガン・アセット・マネジメントが運用するMMFの2倍以上)。これも、アリペイのスマホアプリによって利用者が簡単に資金をMMFに移動できるというフィンテックによるものなのだ。
アマゾンは政府に敵対的、アリババは米中両政府と良好関係
クラウドコンピューティング・サービスではどうだろうか。現時点ではアマゾンのAWS(アマゾンウェブサービス)が圧倒的な世界ナンバーワン。とはいえ、アリババもAWSを目標に「アリババクラウド」を展開しており、中国市場ではシェアナンバーワンだ。日本ではソフトバンクと合弁で「SBクラウド」を設立、日本国内での提供も始まっている。
続けて、「ビッグデータ×AI」について。アマゾンは顧客の購買履歴データ、音声データ、画像データなどのビッグデータをAIで活用している。それはアリババも同様だが、加えてアリペイを含めたスマホアプリを通じた位置情報データの取得も進んでいるため、ビッグデータの量や質ではアマゾンを超えていると推測される。
経営者同士を比較すると、ジェフ・ベゾスはビジョナリー・リーダーシップの経営者であり、天才と評価される一方で「火星人」と言われるほど人間的には「変わり者」だとされている。
一方、ジャック・マーは中国人にとっての「神様」。その経歴も対照的で、ベゾスは幼少から学業優秀で有名大学出身の「優等生」だが、ジャック・マーは高校受験に2度失敗、大学受験に3度失敗したという「劣等生」だった。中国人の間では、ジャック・マーが「劣等生」出身だったことも人気の要因になっている。
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