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女性向けマーケティングの要諦を「美白」の戦略分析から探る
「クレ・ド・ポー ボーテが理想の顧客像として定義する問題意識の高い女性は、美白ケアにおいても、なりたい肌の目標を実際のダイヤモンドの輝きのレベルにまで高めるべきである」という提案をしているのだ。
ダイヤモンドという表現は、このターゲット層の女性には極めてわかりやすいメタファー(比喩・隠喩)にもなっており、同ブランドでは、このコンセプトにふさわしい品質も確保されていることを自負している。
最高級に位置するラグジュアリーブランドにおいては、クレ・ド・ポー ボーテのように自社と顧客に対して高い理想を掲げることが求められる。もっとも、本当に求められるのは、その高い理想がブランド哲学のなかに文章として規定されるだけではなく、それらが実際の商品や社員の行動にまで練り込まれているかということなのである。
資生堂において、このブランドが社内組織でも完全に独立した事業部となっており、研究、商品開発から店頭活動に至るまで一気通貫の体制にしているのも、同ブランドの高い理想を実現しようとする目的であると考えられる。
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最後に、最初に述べたコーポレートブランディングと商品ブランディングに加えて、セルフブランディングとショップブランディングについても触れておきたい。
ブランディングの階層には、下から見ると、開発者や経営者のセルフブランディング、商品ブランディング、セレクトショップやブランドショップなどが事例となるショップブランディング、企業全体がブランド化している場合のコーポレートブランディングの4つがある。
セルフブランディングとは開発者や経営者自身のブランディングのことであり、ビジネスや商品に対するこだわり・想い・哲学などが主要ポイントである。そして、経営者や開発者の商品に対するこだわり・想い・哲学が忠実に当該商品に練り込まれ、顧客に愛されるようになると、その商品は商品ブランドとなる。
もっとも、店舗全体や会社全体がブランド化していくためには特定の商品だけがブランド化しても不十分だ。そのブランドがショップレベルやコーポレートレベルでブランド化するためには、店舗スタッフや社員1人ひとりが創業者や経営者のセルフブランディングを共有しなければならないのだ。ここで紹介した2つのブランドがこれらのレベルにおいてもブランド化している鍵は、この点にあると言えよう。
あなたの会社では、開発者や経営者は商品やビジネスにどのようなこだわり・想い・哲学をもっているだろうか。そして、それらは社員1人ひとりに共有されているだろうか。
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