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新規上場スナップチャット、自称「カメラ会社」で何を狙うのか
スピーゲル氏は、この製品が真のイノベーションを実現し消費者に定着するまでスペクタクルズの新製品を出し続けると語っている。ウエラブルという最注目分野の観点から見ても、グーグルを凌駕するような位置にいるのがスナップ社なのだ。
その他、同社が現在準備を進めているサービスには、スナップ・ショーというものがある。これはハリウッド女優やスーパーモデルと提携して、同社のカメラやアプリを使って、これらのセレブがスマホ上でリアリティー・ショーを展開するというものだ。
リアリティー・ショーとは、トランプ大統領が出演していたアプレンティスで日本でも有名になった概念であるが、スナップ社では、そもそも普通のユーザーが同社のサービスを使って自らのリアリティー・ショーを普段から楽しんでほしいと切望してきた。それをまずはセレブから始めていこうとしているのだ。
さらには、スナップ社では、カメラやアプリのサービスをバックパックやその他身の回りの持ち物につけていく計画も明らかにしている。
「カメラ会社」としてのイノベーションとは?
旧来からの「カメラ会社」において、イノベーションとは製品における高画像化や高付加価値化を意味してきたのかも知れない。しかし、スナップ社における「カメラ会社」としてのイノベーションとは、あくまでも若者や子供が本能的に何をしたいと思っているかを出来るだけ忠実に製品化しようとする試みなのだ。
マーケティングにおいては、消費者が企業に求める関係性やその消費者心理のことをブランド・リレーションシップと呼んでいる。強いブランドがさらに強くなるポイントとして、ブランド論のなかでも注目されているフロンティアの1つだ。
ユーザーとの間でフラットな関係性を構築するのに成功し、「このブランドとは、ずっといっしょにいたい、いっしょに価値を創っていきたい」(「共生や共創」)、「このブランドと自分は対等な関係であり、だから自分もいっしょに広げていきたいと思う」(「顧客エンパワーメント」というブランド・リレーションシップを創り上げてきたスナップ社のこれからにさらに期待したい。
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