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コロナがパリにもたらした自転車ブームで、「コンパクトなオリパラ」に説得力
ヴェリブの自転車に乗るパリのアンヌ・イダルゴ市長(右から2番目)、IOCトーマス・バッハ会長(同3番目)ら(2016年10月2日) REUTERS/Thomas Samson/Pool
<コロナ禍が追い風となり、アンヌ・イダルゴ市長が就任以前から訴えてきた「徒歩や自転車で生活できる街」へとパリは変貌しつつある>
2024年に夏季オリンピック・パラリンピックが開催されるフランスの首都パリで、急激に自転車用の道路が増えている。パリはこれまでで最もサステナブルな大会を目指し、2012年のロンドン五輪と比較して、二酸化炭素排出量を55%削減する目標を掲げているからだ。
コンパクトなオリパラを目指して、パリの中心部から15分の場所にオリンピック村を建設し、会場はエッフェル塔やグランパレなど中心部のランドマークまでセーヌ川に沿って設営。95%が既存または仮設の会場で構成される。
さらに交通政策では、観客の100%が公共交通機関、自転車、徒歩で会場に移動。大会期間中に運行されるバスはゼロエミッションにするなど、開催後の持続可能なパリを見据えた明確な計画を打ち出している。
2020年の自転車シェアの利用者数が54%増加
新型コロナウイルスが流行する前の2018年頃に筆者は、ロンドン、コペンハーゲン、アムステルダム、ブリュッセル、ヘルシンキ、ベルリン、チューリッヒ、バルセロナの移動手段や道路を見て回った。パリは自転車シェアリングやEVカーシェアリング導入の先進都市として知られるが、他国と比較すれば自動車やバイクが多く、自転車道の整備は活発ではない印象だった。
欧州の多くの都市ではコロナ対策として、"ポップアップ(一時的)"な自転車道や歩道の整備が進められた。ソーシャルディスタンスで公共交通の輸送量が落ちるため、それを補完するためにとられた措置だ。日本と異なり公共交通政策と道路政策などが一体的に講じられ、アクティブな移動手段を選択する市民が大幅に増えた。
パリでは2020年5月より52kmの一時的な自転車道「コロナピスト」が整備され、自転車シェアサービス「Vélib'(ヴェリブ)」の利用者は2019年と比較して54%増加した。コロナ前は5%未満だった自転車の交通分担率は、現在では7%まで増えた。パリ市は"自転車ブーム"だと表現し、コロナピストを永続させることを決めた。
徒歩と自転車で「15分都市」を目指す
近年、都市政策や交通の分野で注目されているのが、パリの「15分都市」構想だ。
きらびやかなイメージを持たれるパリだが、実際に訪れると、そのイメージと実情のギャップに驚く。水漏れや音漏れがするような古いアパートであっても家賃は高く、遠くから通勤する人も多い。公共交通の駅や車両は老朽化が著しく、おまけにストライキもたびたびある。
古都であるため専用の駐車場を設けることが難しく、クルマも二輪車も路駐が基本だ。そのため道路は車両でいつも溢れている。治安も悪く、一人で行けない地域もある。正直、東京の方がずっと住みやすい。
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