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担い手不足解消へ ローカル線の低コスト自動運転とBRT化で変わる地方の移動
ローカル線の存廃問題解決の一助に(写真はイメージです) MASAHIKO NARAGAKI-iStock
<運転士や保守作業の係員不足などの問題を背景に、鉄道への自動運転システム導入に関する議論が進みつつある>
バスやタクシー同様、鉄道の担い手不足も深刻だ。乗客の減少とそれに伴って廃線問題が深刻化している。クルマの自動運転に関心が集まる一方、鉄道の自動運転については国土交通省の中で検討会が立ち上がるなど議論が進みつつあるが業界内にとどまっている。
鉄道の今後の維持活性化のために注目したいこと、導入が検討されている新技術について紹介する。
香椎線(JR九州)の先頭車両の運転台の係員は一見運転しているように見えるが、実は運転士ではない。運転はシステムが担い、係員は主に緊急停止の操作や避難誘導などを行っている。JR九州は運転士不足対策として、運転士免許を持たない係員が乗務する鉄道の自動運転システムを確立させようと2020年より実証実験を行っている。
これまで国内の鉄道の自動運転は、レールを介して常に情報を伝送する形式(ATC)で実用化されてきた。しかし、ATC化には莫大な設備投資が必要で乗降客数の減少が進む在来線への導入は難しかった。
常にレールから情報を受け取るのではなく、JR九州のように後付け装置から情報を受け取る形式(ATS-DK)での安価な自動運転システムを確立させ、ローカル線に導入できないかと期待が高まっている。東武鉄道も大師線で係員付き自動運転の実現に向けて実証実験を行うと21年4月に発表した。このように、鉄道業界でもローカル線での自動運転システム導入の議論が活発化している。
完全無人運転を世界で初めて実現した日本
鉄道にもクルマと同じく自動化レベルがあり、GoA (Grade of Automation)と呼ばれる。日本の新交通システムや欧州で導入が進んだ運転士も係員もいない完全無人運転(UTO:Unattended Train Operation)がGoA4、東武鉄道のように係員は乗務するが運転士は乗務しない自動運転(DTO:Driverless Train Operation)がGoA3、JR九州のように運転士免許を持たない係員が先頭車両の運転台で乗務する自動運転をGoA2.5、丸ノ内線などの東京メトロのように加減速の運転操作を自動化した半自動運転をGoA2と定めている。一般的な路線はGoA1、路面電車はGoA0となる。
UTOを世界で初めて実用化したのは、実は日本だ。1981年開業の神戸ポートライナーに導入された。運転士も駅員もいない鉄道の自動運転システムは、大阪メトロニュートラム、横浜シーサイドライン、ゆりかもめなどの新交通システムに導入されたが、地下鉄やローカル線に導入されることはなく、海外展開もできなかった。
欧州は地下鉄にUTOを導入し、DTOも積極的に採用してきた。そのシステムを国外にも輸出している。欧州に運転士や係員のいない鉄道や駅が多いのには、こうした背景がある。
日本でも運転士や保守作業などの係員不足から再びこの動きが業界内で注目されている。2018年には国土交通省鉄道局の「鉄道における自動運転技術検討会」も開催され、一般的な路線への自動運転システム導入の後押しとなっている。
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