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「夜間の犯罪は明るくすることで防げる」は本当か? 街灯の防犯効果について考える
明るい場所で安心し、暗い場所で不安になるのは犯罪者も同じ?(写真はイメージです) Shin-iStock
<「真っ暗な場所は危険」と多くの人は考えるが、国内で起きた過去の事件を振り返ると──>
10年前の8月、三重県四日市市の中学3年の女子生徒が、花火大会から帰宅途中に行方不明になった。4日後、同県朝日町の空き地で、女子生徒は遺体となって発見された。空き地に連れ込まれて窒息死したのだ。その半年後、女子生徒を殺害し現金を奪ったとして、県警は県立高校を卒業したばかりの少年を逮捕。津地検は強制わいせつ致死と窃盗の罪で起訴し、津地裁は5年から9年の不定期刑を言い渡した。その後、検察側が控訴したが棄却され、一審判決が確定した。
この事件のように、夜の時間帯に事件が起こると、「暗いから犯罪が起きた」と多くの人は考える。この事件でも、そうした見方に基づいて街灯が増設された(写真参照)。このように、「夜間の犯罪を防ぐには、明るくすることが必要」というのが常識だ。
ところが、「暗さ」が犯罪を誘発している証拠はない。例えば、警察庁の統計によると、「午前6時から午後6時まで」に発生した犯罪は、「午後6時から午前6時まで」に発生した犯罪の約1.5倍だ。
統計的には、犯罪者も普通の人と同じように、暗い場所より明るい場所を好むようだ。ケーススタディでも同じことが言える。例えば、川崎市宮前区のトンネル内の歩道で、深夜に帰宅途中の女性が刺殺された事件(2006年)がそうだ。犯行場所に選ばれたのは、トンネル外の暗い路上ではなく、トンネル内の明るい路上だった。そこでは71基の蛍光灯が明るくともり、前方から近づいてくる人の顔もはっきりと分かるほどだった(写真参照)。
また、愛知県豊田市の女子高生が、日没後、自転車で下校途中に田んぼ道で殺害された事件(2008年)でも、遺体が発見されたのは、街灯のない地点ではなく、街灯に照らされた地点だった。
街灯のない田んぼ道は「真っ暗な場所」だ(写真参照)。そのため、犯行対象を確認できない。自分の好みの顔立ち、弱そうな体格、高価な品物なども見極めにくい。加えて「真っ暗な場所」では、逃走ルートを確保するのも難しい。自然と、犯人は街灯に照らされた場所で生徒に接触したのだろう。
明るい夜は、絶好の犯行機会
犯罪者は暗い場所より明るい場所を好む。それを支持する一風変わった研究がある。それは「満月の夜に変身する」という狼男の伝承から来ている。それゆえ「満月の夜に犯罪が増える」と主張する。
その理由として、引力の影響を挙げる人もいるが、月の明るさが原因とする仮説が最も有力である。なぜなら、犯罪は屋外では増えるが、屋内では増えないからだ。確かに、満月で明るければ、人出は多くなるだろうし、それはターゲットの選択肢が増えることを意味する。明るい夜は、犯罪者にとって絶好の機会なわけだ。
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