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無差別殺傷事件は6月に多発... 日本がいまだ「自爆テロ型犯罪」に対して脆弱な理由
秋葉原無差別殺傷事件発生直後の現場(2008年6月8日) Issei Kato-REUTERS
<性格も境遇もバラバラな犯人の動機についてばかり考えるのではなく、「なぜここで」という視点から犯行機会を減らそうとすることが重要だ>
先月25日、長野県中野市で、男が女性2人をナイフで刺したうえ、通報を受けて駆けつけた警察官2人を猟銃で撃って殺害した。この手の犯罪は、逮捕されてもいいと思って犯行に及ぶ「自爆テロ型犯罪」であり、逮捕されたくないと思っている「通常型犯罪」とは区別して考えなければならない。
昨年の7月に安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件や、今年の4月に岸田文雄首相に鉄パイプ爆弾が投げられた事件も「自爆テロ型犯罪」だ。
「自爆テロ型犯罪」は、なぜか6月に多発し、5月下旬から7月中旬までの期間で目立つ。
例えば、スクールバスを待っていた私立カリタス小学校の児童が刺殺された事件は5月28日、京都アニメーションが放火され社員36人が死亡した事件は7月18日、そして前述した安倍元首相銃撃事件は7月8日に発生し、以下に列挙した事件はすべて6月に起きている。
(1) 大阪教育大付属池田小事件
小学校に包丁を持った男が侵入して、1年生と2年生の児童や教師を次々と刺し、児童8人が死亡、教師2人を含む15人が重軽傷を負った。犯人は「死刑になりたかった」と供述した。
(2) 秋葉原無差別殺傷事件
東京の秋葉原駅近くで、歩行者天国にトラックが突っ込んで通行人をはね、運転していた男が買い物客をナイフで襲撃し、7人が死亡、10人が重軽傷を負った。犯人は「誰でもよかった」と供述した。
(3) マツダ工場殺傷事件
広島県のマツダ本社工場で、東正門から侵入した暴走車に出勤中の社員が次々とはねられ、1人が死亡、11人が重軽傷を負った。犯人は、知人に「オレは秋葉原を超えた」と事件後に話した。
(4) 大阪通り魔殺人事件
大阪の心斎橋の路上で、包丁を持った男が通行人を刺し、2人が死亡した。犯人は「死刑になりたかった」「誰でもよかった」と供述した。
(5) 富山交番襲撃事件
富山市の交番で勤務していた警察官が、おのとナイフを持った男に刺殺されて拳銃を奪われ、近くの小学校の正門付近にいた警備員が、奪われた拳銃で射殺された。犯人は「人を殺すことで社会とのつながりを断とうとした」と供述した。
(6) 大阪交番襲撃事件
大阪府吹田市の交番で勤務していた警察官が、男に包丁で刺されて重傷を負い、実弾入りの拳銃を奪われた。犯人は「周りの人がひどくなったせいだ」と供述した。
(7) 新幹線車内殺傷事件
走行中の東海道新幹線の車内で、ナタを持った男が乗客を切りつけ、1人が死亡、2人が重傷を負った。犯人は「誰でもよかった」と供述した。
(8) 新幹線車内放火事件
走行中の東海道新幹線の車内で、乗客の男がライターでガソリンに火をつけて焼身自殺し、1人が煙による気道熱傷で窒息死、乗客26人と乗務員2人の計28人が重軽傷を負った。
こうした「自爆テロ型犯罪」の動機を解明するのは困難だ。少なくとも、犯罪心理の専門家でない捜査官、検察官、裁判官には動機の解明を期待できない。
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